おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
カイリの可能世界理論(非凡の物語)
- 閑話休題II -

とあるバックヤードでの一幕
【篠村京士郎・此花一葉】

促されるままに席に着いた。
ボカロ曲『浮世夢の世』を聴覚に流し続けているイヤフォンを手で絡め取り、再生を停止させる。
起きたばかりだというのに瞼が重い。いささか眠りすぎた様だ。
場の雰囲気も読まずに欠伸をすると、相対している相手が俺の態度にため息をつく。しょうがないだろ、寝起きの人間にそんな事をしている余裕は無い。
流石に二度目ということもあってか、相手の言葉は昨日ほど優しいものではなかった。

「二日、連続ですよ」

「……悪気は、全く無いんだけど」

「良いですよ、そんな無駄な社交辞令は。……単刀直入に言います。当店のブラックリストに載せますので名前と年齢などを言ってもらって良いですか」

「たったの二回で⁉︎ いや、言える立場じゃ無いんだろうけど、拒否権は?」

「当然、存在しませんよ」

「だよな……。でも、ブラックリスト載せられるって分かってんなら余計言いたく無いんだけど」

「宣言はただの柔らかい表現でしかありません。もう来ないでください」

「ストレートだな……」

「悪あがきはよしてください。暇じゃ無いというのは昨日もお伝えした通りです」

「わかったよ……篠村京士郎。17だ」

「……そうですか、ではお客様」

「はい?」

「まだ未成年なのに飲酒はいけませんよ。通う学校を教えて下さい連絡しますので」

「いや、そもそも引きこもりだし、不登校だし、連絡してもあんま意味無いと思うぞ? 親も別に興味無いだろうしな」

「自覚していて飲んでいるのですか? 近く人生が破綻しそうですね」

「あーすまん、まず飲酒の方言っとくべきだった。俺は飲んで無い。……そもそも、ちゃんと受け答えできてることが証拠だ」

「飲んでいるお客様は皆一様にそう言うのです。……自分がどれほど他人に迷惑をかけているとも知らずにのうのうと……! まぁそんな輩は全員死んで仕舞えば良いと思うのです」

「いやいや⁉︎ 悪く思ってるよ! でもそう軽々しく『死ね』は無いんじゃ無いか⁉︎」

「良いのです。……これでもうあなたみたいなお客様に対応するのは何度目か。セクハラ発言など酔っ払ったお客様からはもう聞き飽きているのです。正直勘弁して欲しいです」

「俺はセクハラなんてしないよ⁉︎ そもそもそんな気持ちなんてさらさら無いから」

「そう言っている人ほど危ないのです! 未成年の方ほど面倒臭いものは無いんです! 酔っているくせに言うことは聞かない。確かに早く自分が大人になりたいと思う気持ちはわかりませんが、そう言った早とちりする輩は全員急性アルコール中毒で死ねば良いのです!」

「君さ、俺が酔っていないのをわかっててもの言ってるよね?」

「お酒を飲めば大人に近づくことが出来るとか、そんな稚拙なこと考えてないで、そんな浅はかな事を考えてしまう脳をまず大人に近づけた方が良いと思うのです!」

「俺もなんかそんな気がしてきた」

そして相手の女の子は言いたい事を言い切ったのか深呼吸をした。
年下の女の子にこれ程言葉で打ち負かされるとは、俺ってどれだけクズなんだよ。いつか同じ事を言い返してやりたい気持ちだ。
そして、そのまま沈黙が続く。
そしてそこでやっと気付いた。その女の子は俺の言う事を何一つ聞いていなかったことに。
味わったことのある空気に、俺はこの子が俺が話し始めるのを待っているのだと悟った。
昨日も見た光景。
昨日と同じ人物。
流石に二度目は歓迎してはくれなかった。
俺は気まずさに押しつぶされそうになりながらも、何とか口を開く。

「……えっと、これもう帰って良い感じ?」

400文字詰めの原稿用紙3枚半分の量の文章です。
そして今自分で見返したりしていて誤字脱字があったりするのでもしも気付けていない部分があったりしたら良かったらでいいのでご指摘願います。あと、感想とか。アンチでも普通に喜びます。
<2016/11/12 01:47 ソト>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.