一定のテンポが鳴り響くこの場所。
この広いスペースで、ボールが打たれては、また打たれる。
ネットを越えて。
その音を奏でる男子二人。
私は彼らを、ただ眺めていた。
広いそこにある、小さなベンチに腰掛けて。
カッコイイかも、なんて、女の子らしい事を思った時。
首筋にヒンヤリとした感覚が。
振り返ってみれば、友達の里咲が、ふふっ、と控えめに
笑った。
「り、さ……」
里咲は、そんなに驚かないでよ、と笑ってすぐ隣に
座った。
「あ、はいっ」
里咲が冷たい飲み物を差し出す。
有り難くそれを受け取り、一口飲んだ。
その時。
「珠希(みき)っ」
少し慌てた海斗の声が私を呼ぶ。
それに、えっ、なんて間抜けな返事をした頃にはもう遅く。
頭に向かって来るテニスボール。
それを素直に受ける頭。
「痛っ」
漫画のようなこの光景に爆笑する、海斗と練習していた
大希。
「ごめんね、大丈夫?」
豪快な笑い声をバックに、そんな優しい声が聞こえる。
それにダメとも答えられず、大丈夫だよ、と拾ったボールを渡した。
それを受け取ると、爽やかな笑顔を残して練習に戻る海斗。
さっきまで座ってた、里咲は今も座ってるベンチに
もう一度座った。
「本当、カッコイイよね」
そんな声が、座ったとほぼ同時に聞こえた。
そんな声の聞こえてきた方を見れば、少し寂し気に二人を
眺める里咲の横顔が目に入った。
「本当、もっと話せたらなぁ…」
寂し気な表情のまま、そう言いながら少し下を向く里咲。
「え、何で話せないの?」
その顔を覗き込むようにして聞いた。
「だって、女の子達、怒らせたくないし……」
里咲が更に下を向き、長く綺麗な髪がおりてきて里咲の
横顔を隠す。
私はそれから目を逸らすように、二人の男子へと視線を
移した。
そんな私の口から出る、「怒らせたらそれで良いじゃん」の言葉。
「里咲に何かしたら、男子達も放っとかないし。私だって
放っとける自信ないしっ。大丈夫だって」
その言葉に答えはない。
諦めずというか、しつこく続ける私。
「クラスも同じだし、席も近いし。まずまず私達、マネー……」
だからだよ、という里咲の声が私の言葉を遮る。
私は黙って続きを待った。
「私なんかが、このテニス部のマネージャーをやってる
事もみんな気に入ってない…」
掛ける言葉が見つからない私。
そんな私に、まだ続ける里咲。
「マネージャーやってるだけでも有り難いのに、教室でも
話すなんて。本当、女の子達が放っとくと思う?」
「なら、こういう四人だけの時に話せば良いじゃん?」
その言葉に黙り込む里咲。
それに、やっぱり言葉が見つからず、私も黙る。
ほんの少しでも軽い、自然な雰囲気になればと、里咲が
買って来てくれた飲み物を飲んだ。
猛暑のせいでペットボトルはもうかなり濡れてる。
そこから、赤い地面へと向かって滴り落ちる一滴の雫。
それが更に暑さを感じさせる。
ペットボトルと言えば。
「里咲、二人の分も……」
「渡して来てもらっても、良いかな…」
少し恥ずかしそうに笑いながら私と目を合わせて言う里咲。
「良い、けど……」
せっかく話せるチャンスじゃん。
もったいないな、なんて思いながら二本のペットボトルを
受け取り、二人に少し近付いた。
「お〜い」
そう軽い声で呼び掛ければ、一定のリズムは止まり、
二人の視線が私へと向けられる。
「差し入れ?みたいな。私が買ったんじゃないけど」
笑ってそう言い、二人にペットボトルを渡した。
素敵な笑顔でそれを受け取る二人。
真夏の暑さも吹き飛ぶ。
「お疲れ」
「おっ里咲」
隣で恥ずかしそうに笑う里咲。
「帰る?」
「良いの?」
「ほら、あんま変な事されると〜、怪我人が出るから」
海斗が大希を見ながら言う。
「本当だよ。あれ結構痛いんだよ?」
私の言葉にまた笑い出す大希。
こっちは本気なのに。
私達は真夏の猛烈な暑さの中、大希の笑いも落ち着いた
所で公園を出た。
この広いスペースで、ボールが打たれては、また打たれる。
ネットを越えて。
その音を奏でる男子二人。
私は彼らを、ただ眺めていた。
広いそこにある、小さなベンチに腰掛けて。
カッコイイかも、なんて、女の子らしい事を思った時。
首筋にヒンヤリとした感覚が。
振り返ってみれば、友達の里咲が、ふふっ、と控えめに
笑った。
「り、さ……」
里咲は、そんなに驚かないでよ、と笑ってすぐ隣に
座った。
「あ、はいっ」
里咲が冷たい飲み物を差し出す。
有り難くそれを受け取り、一口飲んだ。
その時。
「珠希(みき)っ」
少し慌てた海斗の声が私を呼ぶ。
それに、えっ、なんて間抜けな返事をした頃にはもう遅く。
頭に向かって来るテニスボール。
それを素直に受ける頭。
「痛っ」
漫画のようなこの光景に爆笑する、海斗と練習していた
大希。
「ごめんね、大丈夫?」
豪快な笑い声をバックに、そんな優しい声が聞こえる。
それにダメとも答えられず、大丈夫だよ、と拾ったボールを渡した。
それを受け取ると、爽やかな笑顔を残して練習に戻る海斗。
さっきまで座ってた、里咲は今も座ってるベンチに
もう一度座った。
「本当、カッコイイよね」
そんな声が、座ったとほぼ同時に聞こえた。
そんな声の聞こえてきた方を見れば、少し寂し気に二人を
眺める里咲の横顔が目に入った。
「本当、もっと話せたらなぁ…」
寂し気な表情のまま、そう言いながら少し下を向く里咲。
「え、何で話せないの?」
その顔を覗き込むようにして聞いた。
「だって、女の子達、怒らせたくないし……」
里咲が更に下を向き、長く綺麗な髪がおりてきて里咲の
横顔を隠す。
私はそれから目を逸らすように、二人の男子へと視線を
移した。
そんな私の口から出る、「怒らせたらそれで良いじゃん」の言葉。
「里咲に何かしたら、男子達も放っとかないし。私だって
放っとける自信ないしっ。大丈夫だって」
その言葉に答えはない。
諦めずというか、しつこく続ける私。
「クラスも同じだし、席も近いし。まずまず私達、マネー……」
だからだよ、という里咲の声が私の言葉を遮る。
私は黙って続きを待った。
「私なんかが、このテニス部のマネージャーをやってる
事もみんな気に入ってない…」
掛ける言葉が見つからない私。
そんな私に、まだ続ける里咲。
「マネージャーやってるだけでも有り難いのに、教室でも
話すなんて。本当、女の子達が放っとくと思う?」
「なら、こういう四人だけの時に話せば良いじゃん?」
その言葉に黙り込む里咲。
それに、やっぱり言葉が見つからず、私も黙る。
ほんの少しでも軽い、自然な雰囲気になればと、里咲が
買って来てくれた飲み物を飲んだ。
猛暑のせいでペットボトルはもうかなり濡れてる。
そこから、赤い地面へと向かって滴り落ちる一滴の雫。
それが更に暑さを感じさせる。
ペットボトルと言えば。
「里咲、二人の分も……」
「渡して来てもらっても、良いかな…」
少し恥ずかしそうに笑いながら私と目を合わせて言う里咲。
「良い、けど……」
せっかく話せるチャンスじゃん。
もったいないな、なんて思いながら二本のペットボトルを
受け取り、二人に少し近付いた。
「お〜い」
そう軽い声で呼び掛ければ、一定のリズムは止まり、
二人の視線が私へと向けられる。
「差し入れ?みたいな。私が買ったんじゃないけど」
笑ってそう言い、二人にペットボトルを渡した。
素敵な笑顔でそれを受け取る二人。
真夏の暑さも吹き飛ぶ。
「お疲れ」
「おっ里咲」
隣で恥ずかしそうに笑う里咲。
「帰る?」
「良いの?」
「ほら、あんま変な事されると〜、怪我人が出るから」
海斗が大希を見ながら言う。
「本当だよ。あれ結構痛いんだよ?」
私の言葉にまた笑い出す大希。
こっちは本気なのに。
私達は真夏の猛烈な暑さの中、大希の笑いも落ち着いた
所で公園を出た。
