退屈な授業を乗り切り、待ちに待った帰りの時間がやって来た。
私は海斗と歩いてる。
すぐ隣に居る、海斗。
きっとこれが、私達の最後の時間。
海斗も、里咲に惹かれてるんだろう。
今朝言ってた、あそこでは言いづらいってのはきっと、
私が居たから。
里咲と二人なら、そのまま言えたのに。
「珠希は?居ないの?」
少し緊張感を含んだ沈黙を破った、海斗の優しい声。
私の視線は、その海斗へ。
「好きな人」
「居るよ」
「そっか」と、少し残念そうに言う海斗。
ただ勝手に期待して、そう聞こえたのかな。
「海斗の好きな人って、誰なの?」
「ここならもう良っか。いつも傍に居る人」
「ふ〜ん」
これあれだ。
じわじわ来て、最後大きなガッカリ感が味わえるやつだ。
変な期待なんかさせず、キッパリ言って欲しい。
「席も近くて、今も傍に居る人」
私は辺りを見回した。
「えっ?」
「遠回しは面倒くさいね」と笑い、わざわざ止まって目を合わせる海斗。
そして彼は、続けた。
「俺は、珠希が好き」と。
真っ直ぐで綺麗な瞳で、私を見捉えて。
流石に今回はもう合わせられない。
「何か、ごめんね。好きな人居るのに、変な事言って」
「良いのっ」
再び歩き出した海斗を呼び止めるように言った。
それに振り返る海斗。
とても、優しい顔で。
「私の好きな人、か、海斗、だから……」
夢なのかな。
夢なら、夢ならば早く覚めて。
「やっぱり素直だね、珠希は」
「海斗、だって……」
やっぱり恥ずかしくて、視線を斜め下の地面に逃がす。
「夢じゃなければ良いね。でも、夢だった時のために、
ごめんね」
何が?なんて言おうとした時には、もうその口は塞がれていた。
海斗の、大好きな人の、柔らかい唇で。
シンプルに終わった、人生初の、キスってやつ。
私は驚きでいっぱいで、ただ海斗を見つめた。
海斗は優しく笑って、また謝った。
「何で?」と聞けば、「いきなり、あんな事」と恥ずかしそうに言う海斗。
私はそれに首を振った。
そして、なんの言葉も合図も無く、私達の手は繋がった。
少し大きな、この手。
日々ラケットを握っているからか、そんなに柔らかくも
なくて、たくましい。
「珠希」
「海斗」
同時にお互いを呼ぶ、私達の声。
そして、お互いを見る、私達の目。
「珠希、良いよ?」
「ずっと、一緒に居られるよね」
「うん。きっとね」
私は嬉しくて、海斗の手を離し、海斗の腕に自分の腕を
絡めた。
それを、何も言わず、いつもの優しい海斗で受け入れて
くれる海斗。
秋の夕陽に照らされた私達は、秋の夕陽に照らされた
地面に、影となって映し出された。
そこには確かに、腕を絡めた倉本珠希と、黒田海斗が居た。
私は海斗と歩いてる。
すぐ隣に居る、海斗。
きっとこれが、私達の最後の時間。
海斗も、里咲に惹かれてるんだろう。
今朝言ってた、あそこでは言いづらいってのはきっと、
私が居たから。
里咲と二人なら、そのまま言えたのに。
「珠希は?居ないの?」
少し緊張感を含んだ沈黙を破った、海斗の優しい声。
私の視線は、その海斗へ。
「好きな人」
「居るよ」
「そっか」と、少し残念そうに言う海斗。
ただ勝手に期待して、そう聞こえたのかな。
「海斗の好きな人って、誰なの?」
「ここならもう良っか。いつも傍に居る人」
「ふ〜ん」
これあれだ。
じわじわ来て、最後大きなガッカリ感が味わえるやつだ。
変な期待なんかさせず、キッパリ言って欲しい。
「席も近くて、今も傍に居る人」
私は辺りを見回した。
「えっ?」
「遠回しは面倒くさいね」と笑い、わざわざ止まって目を合わせる海斗。
そして彼は、続けた。
「俺は、珠希が好き」と。
真っ直ぐで綺麗な瞳で、私を見捉えて。
流石に今回はもう合わせられない。
「何か、ごめんね。好きな人居るのに、変な事言って」
「良いのっ」
再び歩き出した海斗を呼び止めるように言った。
それに振り返る海斗。
とても、優しい顔で。
「私の好きな人、か、海斗、だから……」
夢なのかな。
夢なら、夢ならば早く覚めて。
「やっぱり素直だね、珠希は」
「海斗、だって……」
やっぱり恥ずかしくて、視線を斜め下の地面に逃がす。
「夢じゃなければ良いね。でも、夢だった時のために、
ごめんね」
何が?なんて言おうとした時には、もうその口は塞がれていた。
海斗の、大好きな人の、柔らかい唇で。
シンプルに終わった、人生初の、キスってやつ。
私は驚きでいっぱいで、ただ海斗を見つめた。
海斗は優しく笑って、また謝った。
「何で?」と聞けば、「いきなり、あんな事」と恥ずかしそうに言う海斗。
私はそれに首を振った。
そして、なんの言葉も合図も無く、私達の手は繋がった。
少し大きな、この手。
日々ラケットを握っているからか、そんなに柔らかくも
なくて、たくましい。
「珠希」
「海斗」
同時にお互いを呼ぶ、私達の声。
そして、お互いを見る、私達の目。
「珠希、良いよ?」
「ずっと、一緒に居られるよね」
「うん。きっとね」
私は嬉しくて、海斗の手を離し、海斗の腕に自分の腕を
絡めた。
それを、何も言わず、いつもの優しい海斗で受け入れて
くれる海斗。
秋の夕陽に照らされた私達は、秋の夕陽に照らされた
地面に、影となって映し出された。
そこには確かに、腕を絡めた倉本珠希と、黒田海斗が居た。
