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ひとつ、願いが叶うなら 〜明日の記憶〜


授業、休み時間、昼休み。

そんな長い時間を乗り切り、帰りの時間はやってきた。

部活はない日だから、珠希ちゃんとはあれから一度も
話さずにこの時間を迎えた。

そんな私は、今。

大好きな男の子、海斗くんと、海斗くんの家に向かってる。

ずっと、待ってた時間。

今日一日という意味でも、この時までの日々、という意味でも。


遂に来た、海斗くんの部屋。

「どうした?今日一日元気ないし、今朝も、何か変だったし」

「珠希ちゃんと、付き合ったんだね…」

「えっ…」

「私じゃ、ダメ?」

「り、里咲?」

私は少し驚いたような海斗くんの前に座った。

「私は、珠希ちゃんよりも、海斗くんの事が好き」

何も言わない海斗くんに、私は続けた。

「何で、私じゃなくて珠希ちゃんなの?私はずっと、
高校に上がった頃から海斗くんの事が好きだった。
それなのに、何で最近好きになったような珠希ちゃんなの?」

一度出始めた気持ちと言葉は止まらない。

「私は、海斗くんの事が好きなの。どこが好きとか、
どれだけ好きとか。そんなの分からない。全てが、
海斗くんの全てが、大好き……」

「里咲」

海斗くんの優しい声。

それに出るのは、返事ではなく涙。

「里咲の事も、好きだよ。けど、恋愛的な感情は全く無い」

海斗くんは、少し強いその言葉を、とても優しく言い、
それ以上に優しく、包み込むように私を抱きしめた。

「珠希ちゃんには?珠希ちゃんには、そういう感情はあるの?」

私は、こんなにも思ってるのに。

大好きなのに。

大切なのに。

「珠希は、珠希の事を知った時から好きだった。
一目惚れ?みたいなやつ」  

私もそうだよ。

それは、今も継続中。

けど、どんなに伝えても、どんなに泣いても。

海斗くんにそれが伝わる事は、届く事は。


無かった。

<2016/08/29 16:57 秋の空>消しゴム
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