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ひとつ、願いが叶うなら 〜明日の記憶〜


今日もやっと終わってくれた一日。

帰ろうと、教室から出れば呼ばれる名前。

振り向けば、大希と海斗が。

悪いけど今はそんな気分じゃない。

とも言えない私。

「どうしたの?」

「たまには一緒に、なんて?」

「そう…」

「最近元気ねえけど、どうしたの?」

そんな、里咲との仲が更に悪くなっただなんて言えないでしょ。

だから私は「何でもない」と誤魔化す。

「珠希っ」

階段を下りようとすれば、腕を掴まれる。

本当に温かい手。

今回は海斗らしい。

「何か、あったなら言ってよ…」

心配そうな目で私を見つめる海斗。

そんな人に、心配なんてさせられない。

「何でもないから。海斗は肩、大事にして?」

「もう、良くなってきてるし」

「そう。でも本当に、何でもないから。気にしすぎ〜っ」

そう言って腕を離してもらった。

けど、彼の表情は更に暗くなっただけだった。

「ごめん。でも、本当に……」

「こっちこそだよ。最後まで、何もしてあげられない…」

海斗は下を向き、悲しそうに呟いた。

「そんな事ないよ。私は、海斗が傍に居てくれれば、それだけで良いの。あと、最後って、何?」

私は海斗の後ろに立ち、肩に手を乗せて言った。

やっぱり高いな、なんてどうでも良すぎる事を考えながら。

「ごめん、何でも無い。帰ろ?」

さっきの暗い声は何だったのかと思う程、明るい声で言う海斗。

私も大希も、何も言えずに素直に頷く。

大希は最初から特に言ってないけど。

私は二人と階段を下り、校門を出た所で別れた。

一人での、やたらと静かな帰り道。

空では鳥が鳴いている。

暖かな風が吹き、可愛らしい花達が揺れている。

私はそんな自然を眺めながら家へと向かった。


<2016/08/30 11:41 秋の空>消しゴム
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