海斗が居ないと、日々や時間が過ぎるのがやたらと早い。
決して、良い意味ではなく。
気付けば、終わってる感じ。
そんな感じで日々は過ぎ、土日がやって来た。
手には携帯。
後は『発信』を押すだけ。
けど、行った理由が家の都合。
どんな都合よ。
ただ、声が聞きたいだけ。
すぐ戻る、必ず帰る。
そう言って欲しいだけ。
その為だけに、海斗の時間を使うのは嫌だった。
「掛けないの?海斗くんでしょ?」
隣から明るく高い里咲の声が聞こえる。
仲直りしてからまだ間もないのに。
前より仲良くなってる気がする。
海斗が、居ないからかな。
って事は、帰って来たらまた変わっちゃうって事?
それは困る。
そんな事を考えていた時。
「ほらっ」
そんな声と同時に、細く長い、女性らしい指が『発信』に向かって伸びて来た。
「わっ、ヤメてよ〜っ」
咄嗟に携帯を持つ手を変え、少しでも、と遠ざけた。
危うく押されるところだった。
今、海斗は忙しいはず。
そんな彼に電話なんて掛けたら。
「ふふっ。早く、帰って来ないかね……」
最初の笑い声とは全く違う、里咲の暗い声。
「うん。でも、ずっと待ってる、なんて言ったけど、
そんな事、出来るのかな……」
「待っててあげないと!珠希が待ってないで誰が待ってる
の?海斗くんが、帰って来た時に、一番最初に。
誰に何したいか、分かってる?」
「里咲?」
「ダメだよ。待ってるって言ったんだから。ちゃんと待っててあげようよ。辛いのは、海斗くんも一緒だよ。
もちろん、私達も凄い辛いよ?凄い寂しい。けど、
置いて行かれる方より、置いて行く方のがよっぽど辛いと、私は思うよ?」
こんなに喋る里咲、初めて見た。
驚きから、ただ里咲を見つめてしまった。
「あっ、ごめん。彼氏に、会えないんだもんね。私なんかより、よっぽど……」
私は里咲の言葉に、首を振った。
里咲も、ほんの少し笑ってくれた。
「で?掛けない訳?海斗くん、待ってると思うけどなぁ。
珠希からの連絡っ」
おっとりと、優しく話す里咲。
色んな話し方出来るんだね、なんて、どうでも良い事を
思った。
そんな私に、続けるように話す里咲。
「海斗くん、掛けたくても掛けられないで居るんじゃない?海斗くんはそんな人だよ?」
そう言われ、もう一度『発信』のマークへ指を伸ばした
けど、結局やめた。
「掛けないの〜?」
それを横から覗いてた里咲が言う。
「うん。今は、忙しいでしょ。まだ行ったばっかだし、
片付けもまだ落ち着いてないだろうしさ」
そう言ってホーム画面まで戻し、画面を切った。
里咲もそれを見ていた。
「偉いねぇ。私にはそんな事出来ない。声が聞きたくて、
すぐ戻るって、言って欲しくて。きっと掛けちゃうな」
だから、海斗くんは珠希を選んだんだろうね、と寂しそうに呟いた里咲。
「里咲……」
「あ、ごめんね。変な事。今は、ちゃんと応援出来るから。今までの事、許して欲しいだなんて言わないけど、
これからも友達で居てくれる?」
私はもちろん、頷いた。
海斗も、大希も居ない、子供達の賑やかな声の響く、
だけど、どこか静かな、いつもの公園で。
決して、良い意味ではなく。
気付けば、終わってる感じ。
そんな感じで日々は過ぎ、土日がやって来た。
手には携帯。
後は『発信』を押すだけ。
けど、行った理由が家の都合。
どんな都合よ。
ただ、声が聞きたいだけ。
すぐ戻る、必ず帰る。
そう言って欲しいだけ。
その為だけに、海斗の時間を使うのは嫌だった。
「掛けないの?海斗くんでしょ?」
隣から明るく高い里咲の声が聞こえる。
仲直りしてからまだ間もないのに。
前より仲良くなってる気がする。
海斗が、居ないからかな。
って事は、帰って来たらまた変わっちゃうって事?
それは困る。
そんな事を考えていた時。
「ほらっ」
そんな声と同時に、細く長い、女性らしい指が『発信』に向かって伸びて来た。
「わっ、ヤメてよ〜っ」
咄嗟に携帯を持つ手を変え、少しでも、と遠ざけた。
危うく押されるところだった。
今、海斗は忙しいはず。
そんな彼に電話なんて掛けたら。
「ふふっ。早く、帰って来ないかね……」
最初の笑い声とは全く違う、里咲の暗い声。
「うん。でも、ずっと待ってる、なんて言ったけど、
そんな事、出来るのかな……」
「待っててあげないと!珠希が待ってないで誰が待ってる
の?海斗くんが、帰って来た時に、一番最初に。
誰に何したいか、分かってる?」
「里咲?」
「ダメだよ。待ってるって言ったんだから。ちゃんと待っててあげようよ。辛いのは、海斗くんも一緒だよ。
もちろん、私達も凄い辛いよ?凄い寂しい。けど、
置いて行かれる方より、置いて行く方のがよっぽど辛いと、私は思うよ?」
こんなに喋る里咲、初めて見た。
驚きから、ただ里咲を見つめてしまった。
「あっ、ごめん。彼氏に、会えないんだもんね。私なんかより、よっぽど……」
私は里咲の言葉に、首を振った。
里咲も、ほんの少し笑ってくれた。
「で?掛けない訳?海斗くん、待ってると思うけどなぁ。
珠希からの連絡っ」
おっとりと、優しく話す里咲。
色んな話し方出来るんだね、なんて、どうでも良い事を
思った。
そんな私に、続けるように話す里咲。
「海斗くん、掛けたくても掛けられないで居るんじゃない?海斗くんはそんな人だよ?」
そう言われ、もう一度『発信』のマークへ指を伸ばした
けど、結局やめた。
「掛けないの〜?」
それを横から覗いてた里咲が言う。
「うん。今は、忙しいでしょ。まだ行ったばっかだし、
片付けもまだ落ち着いてないだろうしさ」
そう言ってホーム画面まで戻し、画面を切った。
里咲もそれを見ていた。
「偉いねぇ。私にはそんな事出来ない。声が聞きたくて、
すぐ戻るって、言って欲しくて。きっと掛けちゃうな」
だから、海斗くんは珠希を選んだんだろうね、と寂しそうに呟いた里咲。
「里咲……」
「あ、ごめんね。変な事。今は、ちゃんと応援出来るから。今までの事、許して欲しいだなんて言わないけど、
これからも友達で居てくれる?」
私はもちろん、頷いた。
海斗も、大希も居ない、子供達の賑やかな声の響く、
だけど、どこか静かな、いつもの公園で。
