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ひとつ、願いが叶うなら 〜明日の記憶〜



この日も、みんなは来てくれた。

やっぱりみんなの顔を見たり、声を聞けば落ち着いた。

大好きだから。

ずっとずっと傍に居たいから。

けど、そこまで思えるから、一緒に居てはいけなかった。

「海斗、大丈夫?」

久々に俺の名前を呼ぶ、珠希の声。

大好きな人の、大好きな声。

「大丈夫」

ずっと聞きたかったその声にそう言った俺の声は、本当に感情なんてものは無かった。

「かい……」
「あのさ」

言いたくなんてない。

もっと来て欲しい。

けど、言うしかない。

「海斗?」

「今日は、もう帰って。あと、暫く来ないで…」

「海斗くん、迷惑とか考えてるなら、やめてよ?」

「そんな事考えてない。良いから、帰って」

そう言いながら泣きそうだった。

本当は、ずっと一緒に居たい。

こうして来てくれた日には、大した事は出来ないけど、
あそこの自販機で飲み物でも買って話をしたい。  

けど、今の俺にそんな事は出来ない。

まだまだ歩けるし、話もできる。

身体の痛みがなければ、テニスなんて余裕で出来るくらい。

けど、体は俺の思ってる以上の状態だった。

それを知った上で、珠希、里咲、大希。

こんな大切な人と一緒には居られない。


<2016/08/31 11:17 秋の空>消しゴム
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