おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
ひとつ、願いが叶うなら 〜明日の記憶〜


目を閉じても、逸らしても。

聞こえてくる二人の音。

「あっ、ごめん」

「大丈夫大丈夫」

そんな二人の会話と、途切れた音に顔を上げた。

「珍しいね…」

隣で呟く里咲。

視線はそちらへ。

「海斗くん」

「そう、なんだ……」

私は再び二人へ視線を向けた。

あの人が失敗する事はまずない。

大体あの音が途切れる時は大希がふざけたり、集中力が
切れたとき。

それが今回は海斗が止めたらしい。

何か、人間らしい所が見られて少し安心した。

完璧人間って感じだから。

運動も勉強も出来るくせに顔も性格も良いなんて。

本当、男子にも人気な感じ。

気付けば再び鳴っていた二人の音。

私はどこか、前の方を見つめた。

「大希〜」

「あっ、ヤベっ」

そんな声の後、足元に転がって来たボール。

顔を上げれば、分かりやすくビビってる大希が。

「まったく。いい加減にしろっ!」

いつも通り投げれば、とんでもない方へと飛んだボール。

「どこ投げてんだよ。まぁ珠希に正確さなんて求めてねぇけど」

「何よ!本当に失礼ね!」

「事実を言った迄だ」

本当に。

海斗とは大違い。

里咲は、そんな海斗が好きなんだよね。

私も、分かってきた気がする。

結構、本気で好きなのかも。

どうか、里咲にこの気持ちがバレない事を祈るだけ。

里咲との仲を、悪くしたくないから。


<2016/08/29 11:52 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.