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夢が叶う その時に


零に家も教え、居るのかなぁ、なんて少し期待しながら 家を出た。

そうしたら、居た。

「れ、い?待った?」

零は笑顔で首を振る。

もう一度軽く謝り、学校に向かって歩き出して少しした頃。

零が変な事を言った。

「朝から二人って、緊張するね」と。

それに、「何言ってんのよ。友達でしょ?」と笑い返した。

そんなに意識された事もなかった私には、少し嬉しい言葉
だったけど。

「友達、か…」

と、私が思ってるだけかな。

ただクラスが同じだけ?

「そう言えばさ、あのストラップって中に花が入ってるの?」

何となく恥ずかしくて、あのストラップを話に出した。

「あぁ、うん…」

その後、何の言葉もなくそのストラップを見せてくれる零。

本当、綺麗なストラップ。

「これのお陰で、おれは榊と話すようになったんだもんね」

「席替えの結果があれならそのうち話す事もあるでしょ」

「う〜ん」

その前に、こんな変わった物、どこにあるんだろう。

縦向きだけど、楕円形のガラスの中に、本物の花が入ってるみたいな。

そのガラスも、表側はぷっくりしてて、花の綺麗さを
引き立ててる感じ。

裏側は平らで、そこがまたカッコイイ。

「えっ、これ買ったの?」

自分の目の前でストラップを揺らした。

「貰ったんじゃないかな。あまり覚えてない」

「そっか。あぁ、ありがとね」

零の白く綺麗な手の上にストラップを乗せた。

それを鞄の中に入れる零。

お守り、みたいな感覚なのかな。

「あっそうだ!」

朝から元気な私の声に、返ってくる零の穏やかな視線。

「今日、零の家も行って良い?」

「えっ、何で…?」

「いや、私達からも迎え行きたいなぁ、と?」

「良いよ、おれから行くから」

来ないように、と少し必死さの伝わるその言葉に、つい
頷いてしまった。

これも、そんな気がしただけかな。

「夏海様の事、忘れちゃあいませんか?」

その言葉と同時に、肩をグイッ、と引かれる。

隣で、零も。

朝からの尻餅はもう良いよ。

今回は何とか耐えられたけど。

「忘れてないよ?気付かなかったけど」

気付けよ、と頭を叩かれた。

少しは頭、働きやすくなったかな。

それはないか。

この私に限って、そんな事。

「そうだ零、今日い……」

今日行って良い?そう言いかけた夏海を何とか止めた。

「え、何?」

「だ、大丈夫。零が、来てくれる、から」

何故こんなにも分かりやすいのか。

素直で良いね、とか言われるけど、個人的には結構な悩み。

嘘がつけないんだもん。

そのせいで友達と喧嘩した事なんか、もう数え切れや
しない。

「えっ、美桜、零の家知ってるの?」

「知らないよ?」

「なら行こうよ。零、いつか暇な日、教えてね」

夏海は零の薄い肩を叩く。

遂に黙ってしまった零。

私も黙る。

夏海は、訳が分からない、という感じで黙る。

妙な空気が漂う中、私達は教室に着いた。


<2016/09/02 17:24 秋の空>消しゴム
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