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夢が叶う その時に


教室に着いて、荷物を片付けてから結構経った今。

私達の間に流れる空気は、さっきより軽くなっていた。

「零」

「榊?」

零の大きな瞳が、自分に向けられたのを感じる。

「何か、ごめんね」

私がそう言った後、零の目が驚いたように少し、ピクリと
大きくなった。

私はそのまま続けた。

「家、とか……」

それ以上の言葉が出てこない。

家とか、何だよって、自分でも思ってしまった。

そんな私の曖昧な言葉に、綺麗な笑顔で首を振ってくれる零。

それを見て、少し安心した時だった。

「おれも、ごめん…」

零が、呟くようにそう言ったのは。

「零?何で?」

「ただ、家、教えるだけなのに。それも、出来ないから…」

本当に零が何か悪い事したみたいになってる。

そんな暗い顔しないでよ。

言いたくない事だってあるでしょ。

そう言いたいのに、言えない自分に腹が立つ。

そう、言ってあげたいのに。

「あと……」

まだ何かあるの?

「雰囲気、悪くしちゃって…」

「それは零がしたんじゃないよ?」

少し、零の表情が柔らかくなった、そんな気がした。

気がしてばっかり。

「あの、あとで、また良い?」

もちろん頷いた。

私はいつからか、つい最近話すようになった隣の席の彼、
零から何か聞ける事が、嬉しかった。

今度はどんな事が聞けるのか、今から楽しみになっていた。

そんな時にやって来るのが、独特ネクタイ先生です。

本当、邪魔しないでよ……


あれ、そう言えば零、家の話した時、それも出来ないって
言ったよね。

何で?

後で、教えてくれる事も出来るはずなのに。

もう、教えられないのは決定しているような……

<2016/09/02 21:37 秋の空>消しゴム
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