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夢が叶う その時に


寄り道はしたけど、とりあえず遅刻する事はなく教室に
着いた。

とても、妙な雰囲気の教室に。

特に、女子の視線が怖い。

軽く頭を下げてるくらいの気持ちで、ゆっくりと席に着いた。

「夏海、これ、何なの?」

こっそり夏海に聞いてみる。

「ちょっと、良い?」


腕を引かれ、連れて来られたのは空き教室。

「ヤバいよ。美桜が零と付き合ってるのバレちゃったよ」

「嘘っ」

「こんな嘘は言わない。最近、チラチラ噂になってるの。この事は、美桜にだけは早く伝えたかったんだけど、
なかなかタイミングが掴めなくて」

ごめん、と小さく謝る夏海。

それに首を振る私。

夏海は少し表情を和らげ、続けた。

「零が、あんなにも知られたくなかった事でしょ?だから、絶対に美桜と二人だけで話したかったの」

「そっか」

夏海、私達が付き合ってるの、知ってたんだね。

ん?

何故?

「えっ、夏海、何で!?」

しっ、と自分の唇に人差し指を当てる夏海。

今度は私が謝った。

「そりゃ分かるよ。美桜の、零と居る時のあの楽しそうな顔を見てればねっ」

人差し指を立て、ウインクでもしてきそうな夏海。

けどそれに、更に責任を感じた。

「だから、バレちゃったのかな…」

私が、素直に顔に出しちゃってたから。

全て、顔に書いてたから。

「そんな事ないよ。私だから分かったんだよ?」

自然に自慢してる夏海のその言葉。

けど、今回だけはそれに勇気付けられた。

「夏海、私、どうしよう……」

零があんなにも知られたくなかった、言いたくなかった
事を、私がみんなに……

そう思うと、本当に申し訳なくて、泣きそうになる。

何でこういう時に泣いちゃうんだろう。

ちゃんと、これからどうするか考えなきゃいけないのに。

「大丈夫だよ。私がどうにかしてあげるから」

「なつみが…?」

「うん。夏海が」

私の肩に手を乗せ、力強く私の目を見て言う夏海。

「私達、友達でしょ?困った時は、助け合うもんでしょ」

優しい言葉と、肩を叩かれる感覚に、遂に溢れる涙。

「良いよ。泣いちゃいな。でも零の前では、少しだけ
頑張ってね。私も居るから」

なんて頼りになる友達なんだろう。

自分が情けなくて、更に涙が頬を伝う。

何度拭っても、溢れてくる涙。


暫くすると、ホームルームが始まる事を告げるチャイムが鳴った。

女の子達の目は少し怖かったけど、私は夏海と教室へ戻った。

今日も、これからも。

零の前では泣かないと、決めて。

<2016/09/04 00:42 秋の空>消しゴム
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