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夢が叶う その時に


『ただの友達です』それだけを言い続ければ、両親も納得には至らなかったけど、諦めたように何も言ってこなくなった。

色々落ち着き、隠れながらでも、美桜と居られると思っていた。

そんな俺は今、美桜と屋上に居る。

「何?」

美桜に呼ばれた時から何となく、嫌な予感はしていた。

「別れて」

予感的中。

その言葉は、美桜の本心でない、そんな気がしたから、
辛かった。

最近、凜花の家だけでなく、俺の家の周りでも張り込んでいる。

お陰で俺もテレビや雑誌に載せられ、結構な有名人に。

それもそうか。

あの有名なセレブタレントの婚約者だなんて。

有名にもなる。

「凜花とは、結婚はしない」

「だったら何?」

「だから、もう少しだけ、俺の隣に居て欲しい」

「何で?私は、零の事。嫌いになったんだよ?」

その言葉を理解した後、すぐに恥ずかしさでいっぱいになった。

美桜はただ、嫌いになったから別れて欲しいと言っただけ。

それを止める必要はない。

それを止める権利など、俺にはない。

「ごめん」

「別に良いけどさ」

そう言って中へと戻った美桜。

「はぁっ」

何となく、達成感のような、スッキリしたような。

そんなに嫌な気持ちにはならなかった。

美桜を、解放してあげられたから。

全てから、解き放してあげられたから。

これで彼女は、ありのままの彼女で居られる。

そうして居てもらえれば、俺も幸せに。

美桜が幸せである事が、今の俺にとって一番の幸せ。

「ありがとう」

こんな俺と、一緒に。

こんな俺の、隣に。

居てくれて。

『ありがとう』

囁くように、一人で言ったその言葉を連れ去るように、
秋の涼しくなってきた風が吹いた。

俺はその風を浴び、教室へ戻った。

美桜との関わりを、これ以上深くしないと、心に誓って。

それが美桜の為だと、そう信じて。


<2016/09/05 22:55 秋の空>消しゴム
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