父親との話が終われば、今度は瀬楽さんとの話。
瀬楽さんとの方が全然良い。
普通なら呼び捨てにしてる程の関係だし。
けど、こんな家に居てくれてる人にそれはしづらくて。
「あぁ、で、何?」
「特に話したい事があるという訳ではないのですが…」
その言葉を聞いて、少し、何故か安心した時だった。
「おぼっちゃまは、それでよろしいのですか」
彼の口から、その質問が飛び出したのは。
「えっ…?」
やたら大きな窓に映る、瀬楽さんの顔を見た。
窓に映る彼は表情を緩め、続けた。
「離れたままで、伝えたい事も伝えずに。そのままで、
よろしいのですか?」
遂に、窓に映る瀬楽さんから目を逸らした。
そうしたら、気分は良くないもので満たされた。
何かも分からない、決して良くはないもので。
「言いたい事があるのでしたら、きちんとお伝えすべき
です」
分かってる。
けど、あの日から美桜の姿は見当たらない。
見えても、届かなくて、触れる事も出来ない。
まるで、自分と共に流れる、地面に映し出された、影の
ように。
「俺と一緒に居て、彼女に良い事はない」
だから、やっぱり俺は凜花と居るのが一番だったんだ。
お互い、会社の為に作られた、道具だから。
道具同士、上手くやっていけば良いだけだった。
「果たしてそうでしょうか。相手がどんな家柄の人間でも。自分が好きになった人物であることには変わりは
ございません」
「ごめん、何が言いたいの?」
そう言いながら振り返れば、少し前までぼんやりしていた
彼の顔がはっきりと見えた。
「後は、中越様を納得させる事が出来れば良いだけです」
「あの俺、フられたんだよ?」
「もちろん存じ上げております」
なら本当に何が言いたいんだろう。
「中越様との婚約が報道された頃に、ですよね。
写真の御方は南城零という人間がこういった家の人間だと
いう事をご存知なかったのだと思われます」
「だから?」
おぼっちゃまも鈍感ですね、と、正しいからこそキツい
言葉が返ってきた。
しかも、半笑いで。
「だから別れたのですよ。自分は南城零と居るに相応しくない人間だと、思い込んで」
何と別れを告げられましたか、と聞かれたから、あの日の事を素直に話してしまった。
「でしたら尚更そうですよ。『嫌いになったから』そう
言われれば、おぼっちゃまが離れない訳のないと、良く
分かっていらっしゃるから」
ですので、まだまだやり直せます、と続けた瀬楽さん。
まだ、美桜は俺を好きで居てくれている、そう解釈して
良いのだろうか。
瀬楽さんとの方が全然良い。
普通なら呼び捨てにしてる程の関係だし。
けど、こんな家に居てくれてる人にそれはしづらくて。
「あぁ、で、何?」
「特に話したい事があるという訳ではないのですが…」
その言葉を聞いて、少し、何故か安心した時だった。
「おぼっちゃまは、それでよろしいのですか」
彼の口から、その質問が飛び出したのは。
「えっ…?」
やたら大きな窓に映る、瀬楽さんの顔を見た。
窓に映る彼は表情を緩め、続けた。
「離れたままで、伝えたい事も伝えずに。そのままで、
よろしいのですか?」
遂に、窓に映る瀬楽さんから目を逸らした。
そうしたら、気分は良くないもので満たされた。
何かも分からない、決して良くはないもので。
「言いたい事があるのでしたら、きちんとお伝えすべき
です」
分かってる。
けど、あの日から美桜の姿は見当たらない。
見えても、届かなくて、触れる事も出来ない。
まるで、自分と共に流れる、地面に映し出された、影の
ように。
「俺と一緒に居て、彼女に良い事はない」
だから、やっぱり俺は凜花と居るのが一番だったんだ。
お互い、会社の為に作られた、道具だから。
道具同士、上手くやっていけば良いだけだった。
「果たしてそうでしょうか。相手がどんな家柄の人間でも。自分が好きになった人物であることには変わりは
ございません」
「ごめん、何が言いたいの?」
そう言いながら振り返れば、少し前までぼんやりしていた
彼の顔がはっきりと見えた。
「後は、中越様を納得させる事が出来れば良いだけです」
「あの俺、フられたんだよ?」
「もちろん存じ上げております」
なら本当に何が言いたいんだろう。
「中越様との婚約が報道された頃に、ですよね。
写真の御方は南城零という人間がこういった家の人間だと
いう事をご存知なかったのだと思われます」
「だから?」
おぼっちゃまも鈍感ですね、と、正しいからこそキツい
言葉が返ってきた。
しかも、半笑いで。
「だから別れたのですよ。自分は南城零と居るに相応しくない人間だと、思い込んで」
何と別れを告げられましたか、と聞かれたから、あの日の事を素直に話してしまった。
「でしたら尚更そうですよ。『嫌いになったから』そう
言われれば、おぼっちゃまが離れない訳のないと、良く
分かっていらっしゃるから」
ですので、まだまだやり直せます、と続けた瀬楽さん。
まだ、美桜は俺を好きで居てくれている、そう解釈して
良いのだろうか。
