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夢が叶う その時に


「ちゃんと、分かってあげて下さいね?」

そうしたかった。

けど、それが出来なかった。

傍に、隣に居ない事が、美桜の為だと思い込んで。

美桜の本心など、全く見えていなかった。

「大丈夫です。私も、応援させて頂きます」

「瀬楽」

部屋を出ようとした彼を、呼び止めた。

頼りない、小さな声で。

それに、視界の端で、穏やかな表情で振り返る瀬楽さん。

「俺は、美桜に何が出来る。美桜は、何を求めてる…」

「そう思うのなら、そう思えるのなら。一刻も早くこの事を解決いたしましょう」

この事。

凜花との、将来、未来。

「後は、中越様、彼女次第でございます」

その言葉に、ついドアの方を見た。

彼は驚いた俺に笑顔を残し、部屋を出てしまった。

凜花、次第。

凜花はもちろん、両親も敵だ。

瀬楽さんは一体何を思っているのだろうか。

何を、考えているのだろうか。

少しして、彼を追うように部屋を出てみた。

廊下に彼の姿がない事を確認すると、足は自然と自分の
部屋へと進んだ。


そっとドアを開け、薄暗い部屋を照らす為、右側の壁を
辿り、明かりをつける。

パチッ、という音と同時に明るさに包まれる部屋。

そのままベッドへ向かい、座った。

気分は、公園に居た時より、ほんの少し明るいような気もした。

ホテルの部屋くらいの広さの部屋に、一人。

静かで、特に何もない。

頭の中は、この部屋と違って。

美桜の事と、瀬楽さんが言ったあの言葉の意味でいっぱいだった。

凜花次第。

彼は、瀬楽さんは、両親に何が出来るのだろうか。

ただ、両親の事を知らないだけなのだろうか。

いや、そんな事は、あるはずがない。

むしろ俺よりも分かっている、知っているはずだ。

ならば、彼は両親に対して、一体何が出来るのだろうか。

何も分からないけど、両親の事は瀬楽さんに任せても良い、そんな気がしていた。


<2016/09/08 19:19 秋の空>消しゴム
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