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夢が叶う その時に


気付けば朝を迎え、門を出た所だった。

門を閉め、ため息を吐こうとした時。

「なーんじょーくーんっ!」

やたらと明るく、高い声が響いた。

その声が聞こえた方へと視線を向ければ、朝から眩しい
凜花の笑顔があった。

「おっはー」

「…おはよ」

彼女を見ると、思い出す。

『後は、中越様、彼女次第でございます』

昨日、瀬楽さんが言った、あの言葉を。

あれは、どんな意味なのだろうか。

凜花はもちろん、両親はもっと許さないはずなのに。

何しろ会社の事しか考えていないのだから。

「零?」

少し心配そうにそう言った凜花の声が、何となく美桜に
似ていた、そんな気がして、少し嫌だった。

「大丈夫?」

「……うん、大丈夫…」

「行こっか!」

そう言って腕を絡め、嬉しそうに笑う凜花。

今日はやたらと楽しそうで。

いつも楽しそうではあるけど、今日はそれ以上な気がする。

「り、凜花」

「なぁに?」

「何か、良い事でも、あった…?」

「…あったよ」

その、返答までの間に、何となく不安を感じた。

そして、さっきまでと全く違う、凜花の声にも。

そんな俺に、凜花は理由を続けた。

「もうね、これからずっと一緒に居られるの」と。

「誰、と?」

そう聞けば凜花は、少し前から止まりそうだった歩みを
止めた。

もちろん、腕を絡められている俺も。

「大好きな人と」

「そうなんだ…」

「はーい、こういうお話はお終い!学校行こーっ!」

イェーイ、と、いつの間にか解いていた腕を上げる凜花。

零くんもっ、と誘われたけど、笑って誤魔化した。

今はそんな事をする気分ではない。

凜花の楽しそうな理由も気になるし、瀬楽さんの言った
言葉の意味も分からないし。


どうか、美桜と凜花の間に何も無い事、それだけを願う。

<2016/09/09 19:21 秋の空>消しゴム
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