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夢が叶う その時に


明るい光と、布団の恋しい冷たい空気で、朝が来たのだと気付く。

最高に仲の良い瞼を上下に引き離すと、布団から腕を出し、携帯で時間を確認する。

「ん……」

まだ寝れるんだけど、とか思いながらも支度を済ませ、
一階へ下りる事にした。



「おはようございます」

あと数段、という所で聞こえたその声に、バッチリ覚める目。

「…おはよ」

「そんなに見開いたら、大きな目、落としますよ?」

「あの、基本バカにしてるよね」

「滅相もございません」

瀬楽さんにため息を吐き、そのまま玄関へ向かった。

「お送りしますよ。たまには」

その声の聞こえた後ろを振り向けば、朝から穏やかな笑みが。

「これも、私の仕事でございます」

「俺の言う事聞くのも仕事でしょ?俺は一人で行きたいの」

そうですか、と、軽くなった言葉が返って来た。

この人、言葉の引き出しはいくらでもあるんだな。

こっちは数え切れる程しかないのに。

「行ってきます」

「まだ早いですよ?」

「寂しいの?」

お気を付けて、と、何事も無かったかのようにお辞儀を
する彼に、とんでもないスルースキルを感じた。



そして今日も出る、いつも通りの門。

そこを出て進行方向を右に変えた時、やっと気付いた。

凜花の存在に。

「おはよう。どうしたの?」

いつもなら、もうあのキンキンした声が響いているはずなのに。

「一緒に、行こ?」

「良い、けど…」

そう答えれば、凜花は全体的に嬉しそうに笑った。

瞳からは、感じてしまった。

大きな切なさ、悲しさを。

<2016/09/11 10:46 秋の空>消しゴム
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