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夢が叶う その時に


私と夏海は、今回も前後の席になった。

真ん中の列に近い方の、廊下側の一番前と、そこから
二番目。

隣はまさかの、あのストラップの人。

頭を下げられたから、何となく同じように返す。

本当、変わってそう。

私程じゃ、ないかも知れないけど。

夏海なら間違いなくそう言うだろう。

そんな事を考えながらも、なるべく早く、と荷物を
片付ける。

急いでロッカーにバッグを入れ、急いで戻っていつも通りっぽくする。

先生を、怒らせない為に。

前の席の夏海は、そんな事一切考えていないらしく、
ゆっくりと自分のペースを大事にしながら片付けを進めている。

似てるようだけど、細かい所を知ると全く違う私達。

「すみません、遅れてしまって…」

バッグをロッカーに入れ、席に戻ってきた夏海が大人しい口調で言う。

先生の前だとここまで変わるのか。

人間って、凄いね。

私の前とは大違い。

普段あんなに冷たいのに。

「はーい、出席取るぞー」

先生の軽い声を合図に、一人一人呼ばれていく生徒達。

そして。

「南城 零」

先生のその声で返事をしたのは、隣の彼だった。

R.N

ストラップに刻まれていた、あの文字。

もう少し、簡単な名前を表してるのかと思った。

ナンジョウ レイの、RとN。

確かにこの学校、変わった名前の人多いけど。

何かビックリ。

「榊 美桜」

もうとっくに呼ばれたはずの私の名前が呼ばれる。

それに、可愛いとは言い難いであろう顔で先生を見つめる。

「どうかしたか」

何か、悟られたみたい。

この人、怖い。

「いえ。何でも、ない、です。はい」

何だろう、この人。

やたら相手を緊張させる、能力みたいなの持ってるのかな。

この人と話す時とか、この人に話し掛けられた時。

この私が、何となくだけど緊張する。

この学校の中では、まだカッコイイ方だからかな。

普通に見たら決してカッコイイとは言えないけど。

相変わらず変なネクタイだし。

私達生徒が私服なんだから、先生も普通の格好で良いと
思うんだけど。

「はーい、準備しろ〜」

そんな事を考えている間に、出席は取り終わっていた
らしく、先生の呼び掛けが響く。

それに何人かが適当に返事をする中、先生は教室を出た。

それを確認し、私は隣の男の子に話し掛けた。

「南城くん、って言うの?」

「そうだよ。話したの、昨日が初めてだもんね」

今日も素敵な笑顔を振り撒く南城くん。

それに、うん、と答えておく。

話したのは昨日が初めて。

それでも、南城くんは私の事を知っていてくれた。

何だかそう考えると申し訳ない。

そんな気持ちでいる私の机の上には、いつの間にかノートや教科書、ペンがバッチリ準備されていた。

そんな、一見完璧な状態で迎える、本日初の授業。


<2016/09/01 19:48 秋の空>消しゴム
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