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夢が叶う その時に


冬も本格的になり、もう少しで冬休み、という所。

その日の朝。

俺は、美桜と、夏海と。

学校へと向かっていた。

久々に揃った、俺達三人。

俺は、この二人の話し声や、軽い叩き合いなど、全てが好きだった。

二人のこの、独特の世界感というか。

こんな、平和な時間や雰囲気。

俺の求めていたものが、そのまま現実になった感じ。

そんな素敵な事をしてくれる二人とは、もうかなりの季節を過ごして来た。

春の暖かい日に話すようになって。

夏の少し前に、海に行って。

秋に、離れて。

冬に、また。

二人は、いつだって俺の事を考えてくれていた。

こんな人に出会ったのは、人生で初めてだった。

だから俺は、凜花との別れを選んだ。

結局、俺から言い出した訳ではなく、凜花が俺の気持ちを悟って、ああ言ってくれた。

結局俺に、出来る事なんて数少ない。

けど、まだ。

敵は居る。

両親。

凜花は納得してくれて、応援すらしてくれて。

けど、まだ凜花のご両親が納得して下さるかは分からないし、うちの両親がそれを許すかもまだ分かっていない。

だから俺は、戦うんだ。

美桜と、初めて愛した人と、隣に居る為に。

全てを敵に回しても構わない。

何を失っても、構わない。

もう、一度大好きな人の、大切な人の笑顔を失ったから。

だからもう、怖いものも、不安な事も、何もない。

堂々と、戦える。

「零、大丈夫?」

今まで通りの、美桜の声。

「うん、大丈夫だよ」

「良いよっ。いつまでも、待ってるから」

美桜の可愛らしい声に、夏海はキリッとした目で俺を見て、口角を上げた。

その夏海の顔が、凄くかっこ良く見えてしまった。

ありがとう

そんな意味を込めて、笑顔を返した。

「私の事は、あまり考えないで」

「何とも難しい事言いますね」

「何か懐かしいねっ!」

「そう言やさ、凜花さんは?」

そう言えば、家の前にも居なかった。

居たら、今ここでこんな事していないんだろうけど。

「どうだろう。まだ会ってない」

「そっか…」

心配そうな美桜の声と顔。

俺は、美桜だけでなく、凜花にまで。

迷惑を掛けてしまったのだろうか……

<2016/09/11 20:03 秋の空>消しゴム
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