「……話したいことって?」
「……卒業式の日に、言うのって。なんだかイタい気もするけど」
微かに吹いた風が、可憐の黒髪をなびかせる。夕日に反射した髪は、少し茶色がかって見えた。
風によって香る、ほのかな塩の香り。
不覚にも、綺麗だと思ってしまった。
ただ勿体無いなぁと思うのは、俺から見える、可憐の背景が、公衆トイレであること。
浜辺の隣は、すぐに道路だ。そして、道路を渡れば公衆トイレがある。
中々変わった地形な気がするけども、まぁ、楽といえば楽だ。
そんなことを考えていれば、可憐が一息ついて、言う。
「……好き。悠人が、好きなの」
「え……」
期待するような、可憐の目が、俺を捕らえる。
動けなかった。答えられなかった。
自分の想いがどうなのかというよりも先に、可憐の言うことが信じられなかった。
可憐みたいな、整った容姿で、優しい娘。
学年の中でいっても、中々モテる方だった、あの可憐が。自分を好いているのだ。
そんなの、信じがたいことである。
「……返事、待ってるから!メールでも、電話でも」
「お、おう」
可憐の方も、恥ずかしさのゲージが溜まってしまったようだ。
くるりと俺に背を向ける。
「あと……直接でも」
「……おう」
緊張して、少しだけ上ずってしまった声で、告白されただけでも恥ずかしいというのに、更に恥ずかしさが増してしまった。
「じゃあ、私これから卒業祝いで友達とカラオケに行くから!」
そう言って、可憐は走り去る。
ただ、走り去りきれないということに、気づいてしまった。
「可憐‼︎危ない!!!!」
「……えっ」
俺の声に反応し、可憐が振り向きかけた。
こちらから、辛うじて確認出来た左目は、大きく瞳孔を開き、絶望の色に染まっていた。
大型トラックから鳴り響く、クラクション。
俺は走り、手を伸ばそうと思ったが、足場は砂浜で、ずるりと転けてしまった。
「可憐!!!!」
地面から顔を上げた時には、もう、可憐は倒れていた。
「……卒業式の日に、言うのって。なんだかイタい気もするけど」
微かに吹いた風が、可憐の黒髪をなびかせる。夕日に反射した髪は、少し茶色がかって見えた。
風によって香る、ほのかな塩の香り。
不覚にも、綺麗だと思ってしまった。
ただ勿体無いなぁと思うのは、俺から見える、可憐の背景が、公衆トイレであること。
浜辺の隣は、すぐに道路だ。そして、道路を渡れば公衆トイレがある。
中々変わった地形な気がするけども、まぁ、楽といえば楽だ。
そんなことを考えていれば、可憐が一息ついて、言う。
「……好き。悠人が、好きなの」
「え……」
期待するような、可憐の目が、俺を捕らえる。
動けなかった。答えられなかった。
自分の想いがどうなのかというよりも先に、可憐の言うことが信じられなかった。
可憐みたいな、整った容姿で、優しい娘。
学年の中でいっても、中々モテる方だった、あの可憐が。自分を好いているのだ。
そんなの、信じがたいことである。
「……返事、待ってるから!メールでも、電話でも」
「お、おう」
可憐の方も、恥ずかしさのゲージが溜まってしまったようだ。
くるりと俺に背を向ける。
「あと……直接でも」
「……おう」
緊張して、少しだけ上ずってしまった声で、告白されただけでも恥ずかしいというのに、更に恥ずかしさが増してしまった。
「じゃあ、私これから卒業祝いで友達とカラオケに行くから!」
そう言って、可憐は走り去る。
ただ、走り去りきれないということに、気づいてしまった。
「可憐‼︎危ない!!!!」
「……えっ」
俺の声に反応し、可憐が振り向きかけた。
こちらから、辛うじて確認出来た左目は、大きく瞳孔を開き、絶望の色に染まっていた。
大型トラックから鳴り響く、クラクション。
俺は走り、手を伸ばそうと思ったが、足場は砂浜で、ずるりと転けてしまった。
「可憐!!!!」
地面から顔を上げた時には、もう、可憐は倒れていた。
