男の正体がわかったのは、それから一週間後のことだった。
通う大学の学部合同授業でその男の姿はあった。
電車で見かけた時と変わらず、髪はボサボサで身につけている衣服はヨレヨレだった。
「ねぇ、あいつ知ってる❔」
たまたま隣に座った同じ学部の女子にたずねる。
「あいつ❔・・・ああ、1年の情報処理の桜井ね。」
(へぇ、桜井って言うんだ)
「有名なの❔」
「有名っていうか、いつもあんなかっこしてるから目立つっていうか。なになに‼︎次はあいつ狙いなの❔」
そう言った隣の女子は悪戯っぽく微笑む。
「はは、狙いって」
「だって、黒木くんバイなんでしょ❔」
「まあ、ね」
(なんでもいいってわけじゃないけど。特にあんたみたいなミーハーな女は勘弁だな)
「でも桜井はやめといたほうがいーよ。あいつちょっとヤバいらしいし」
「ヤバいって❔」
「なんかヤバいやつらとつるんで、ヤバいバイトとかしてるんだって。」
(だからそのヤバいってなんなんだよ)
