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夏に雪が恋しくなるように



男の名前は桜井 孝士郎。
情報処理科の1年で、
何がどうヤバいのかはわからないが、ヤバいやつらとつるんでヤバいバイトをしているらしい。

わかったのはそれぐらいだった。

「1年ってことは、2つ下か・・・」

(年下は興味ねぇなー。金持ってねぇし)

そもそも、身なりに無頓着過ぎて論外である。

(ツラは髪に隠れてよく見えねぇし)

このまま何の接点もないまま、いずれは忘れるものだと思っていたある日、










「これ落としましたけど」

「は❔」

突然呼び止められて振り向いた先にはあの桜井がいた。

桜井の手には自分の画材道具が握られている。

「あ、あぁ。ありがと」

驚いて反応するのが少し遅れてしまった。

「あと、落とした時にここが取れたみたいで」

「…うわ、ほんとだ」

「たぶん接着剤かなんかでくっつければ使えると思うけど…」

「いいよ、どうせ買い替えようと思ってたとこだし」

「そっすか」

(ゴツゴツしてて男らしいし、荒れてるけど、綺麗な手してんなこいつ…)

「なんすか…」

「え、…あぁ、悪い」

(やべ、ついじっと見ちまったよ。変に思われたかな。)

そう思ってチラリと表情をうかがうが、目は伸ばしっぱなしの前髪に隠れてよく見えない。

「じゃ、…」

桜井は軽く頭を下げてそのまま去っていった。



<2016/09/11 00:58 。>消しゴム
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