冬を迎えたこの町に、夜の冷たい風が満ちる。
澄んだ星の光。寒がりな僕は、帰るのも嫌になるから困る。
「寒い...」
ブラックウォッチのダッフルコートと、深い緑のマフラーは、2年前の誕生日に持ち前の色素の薄さに合わせて妹が選んでくれた。
その深い緑のマフラーに顔を埋めて、僕は少しだけみじろぐ。
地下鉄と徒歩で約30分の道中、雪に降られないといいな、と思った。
「ねっ、おにーさん?」
「...!...か、仮沢さん?!」
軽快な声に左側を見ると、人の良さそうな黒い眼鏡。
仮沢東がニコニコと笑っていた。
「な、な、なんで、えっ、」
僕が困惑を隠せずにいるのを知ってか知らずか、仮沢さんは「いやぁ」と頭を掻いて見せる。
「昼間信じてもらえなかったの、妙に悔しくて。貴方は口も固そうだし、いっそ信じてもらえるようなことしちゃえばいいかなって思って!!」
弾けんばかりの笑顔を輝かせて、仮沢さんはそう言った。
え? でも、この寒い中、これって、えっと、...
「ま、」
「ま?」
「ま...待ってた...って事ですか...?」
発するだけで息が苦しくなる言葉だった。
男が好きな人種だからだろうか。...きっとそうだ。
「...、そうかな。うん、...待ってました。...俺の事知ってほしくって。」
やめてくれ。突然真面目に笑ったりしないでくれ。
酷く情けない顔をしている気がして、下を向いた。黒いスニーカーが見える。
「...って、訳なんでっ...。ついてきてください! 俺、車!!」
緊張したままの僕を気遣ってくれた事が、手に取るようにわかった。
行きましょ!
背中を押されるがまま、僕は黒い車体に滑り込んだ。
「ど、どこいくんですか??」
「さーて、どこいこっかなー?」
楽しそうな仮沢さんに、僕も少々...楽しくなってきた。
澄んだ星の光。寒がりな僕は、帰るのも嫌になるから困る。
「寒い...」
ブラックウォッチのダッフルコートと、深い緑のマフラーは、2年前の誕生日に持ち前の色素の薄さに合わせて妹が選んでくれた。
その深い緑のマフラーに顔を埋めて、僕は少しだけみじろぐ。
地下鉄と徒歩で約30分の道中、雪に降られないといいな、と思った。
「ねっ、おにーさん?」
「...!...か、仮沢さん?!」
軽快な声に左側を見ると、人の良さそうな黒い眼鏡。
仮沢東がニコニコと笑っていた。
「な、な、なんで、えっ、」
僕が困惑を隠せずにいるのを知ってか知らずか、仮沢さんは「いやぁ」と頭を掻いて見せる。
「昼間信じてもらえなかったの、妙に悔しくて。貴方は口も固そうだし、いっそ信じてもらえるようなことしちゃえばいいかなって思って!!」
弾けんばかりの笑顔を輝かせて、仮沢さんはそう言った。
え? でも、この寒い中、これって、えっと、...
「ま、」
「ま?」
「ま...待ってた...って事ですか...?」
発するだけで息が苦しくなる言葉だった。
男が好きな人種だからだろうか。...きっとそうだ。
「...、そうかな。うん、...待ってました。...俺の事知ってほしくって。」
やめてくれ。突然真面目に笑ったりしないでくれ。
酷く情けない顔をしている気がして、下を向いた。黒いスニーカーが見える。
「...って、訳なんでっ...。ついてきてください! 俺、車!!」
緊張したままの僕を気遣ってくれた事が、手に取るようにわかった。
行きましょ!
背中を押されるがまま、僕は黒い車体に滑り込んだ。
「ど、どこいくんですか??」
「さーて、どこいこっかなー?」
楽しそうな仮沢さんに、僕も少々...楽しくなってきた。
