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こひこひて逢へる時だに 【※腐向け※】


「ってか、お前!! 今日泊まり行くんじゃなかったのかよ? 夜遅くの一人歩きは、お兄ちゃん感心しないな。」

わざとらしく自分の事を『お兄ちゃん』と読んで話す仮沢兄弟は、本当に仲が良さそうで、僕の介入できる幕は無さそう。
優しそうな雰囲気が感じられるので、会話に入れなくても嫌な気分はしなかった。

「今からいくんだよ。堂本さんとこ!!」
「今回結構長いよな、彼氏。幸せそうでよかったよ。」
「まだ一年だけどな。一年って、まだまだですよね、お兄さん?」

急に佳西くんから話をふられて、驚いたゆえに情けない返事をしてしまう。
えーっとですね、あの、そうですね。まだまだ、かも。
なんてたどたどしく返している頭のなか、同性愛者の兄弟なんて珍しいんじゃないだろうか、とつまらない考えが浮かんだ。

「ほら、やっぱり東時間感覚おかしいよ!!」
「っるせぃよぃっ!!」

仮沢さんは、佳西くんにでこぴんをかまして、伽羅伽羅笑った。

そのあとすぐに、白いハーレーのバイクを鳴らして、佳西くんはお泊まりとやらに行った。

さぁ、ここからが僕の勝負!!
コロッと男に落ちてしまったりしないように、僕も気合いを入れていかなくては!!

「さ、ご飯にしましょ!! っていっても作るとこからですけどね!! 俺料理下手くそですし!!」
「なんの自信ですか、」

可愛い笑顔に早くもクラリとする僕の頭の中。
屈託のない人だなぁ、と内心思った。

「僕、自炊しますよ。」
「じゃ、俺はアシスタントしよっかな。先生お願いします。」

おどけて見せる彼に、僕の緊張はたちまちほぐれた。
本来の、『小説家であることを証明する』ということは、もう彼の頭から抜けてしまっていることだろう。

ま、いっか。楽しいし。

僕は、正直、感じたことのないときめきに、早くも胸が少し痛かった。

<2016/10/20 17:59 弥生目 ヒカリ>消しゴム
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