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想い舞う頃


現実から逃げるように仕事に集中した。

仕事場での半日は、あっという間に終わってしまった。

オレンジ色に染まった、瞬の家のチャイム。

それを見つめ、指を伸ばす覚悟を決めようとしていた時。

「愛ちゃん?」

聞き慣れた綺麗な声に、ビクリと震える体。

ゆっくりと振り返れば、奏の笑顔が。

「ちょ、バカぁ!驚かせないでよ!」

小声で騒ぐ私に、くくく、と笑う奏。

そして、私の隣に立つと迷わずに縦長のノブへ手を伸ばす奏。

「ちょ、何してんの?」

「へ?入らないの?」

「開いてんの!?」

「あ、今日は昼間から居るの。で、さっきコンビニ行って
来て。そういう時は開いてるよ?」

じゃあまさか。

「先週だっけ?あの時も?」

ガチャリという音と共に、そうだよ、と聞こえた。

変に『秘密〜』とか言わないでよ。

鍵渡してんのかと思っじゃん!

奏のバカ!と言おうとしたら、もう完全に閉まろうとしているドアが目に入る。

慌ててそれを開け、中へ入る。

「おっ、愛か」

「あぁ、ごめん。勝手に入っちゃって…」

「全然。愛で良かった。」

瞬はそう言うと、少し顔色を変えた。

「今日さ、話があんだけど…」

そして、何かを決心したように言う瞬に、へっ?とカッコ悪い声を出す私と、彼を応援するような笑みを浮かべて頷く奏。

<2016/11/10 17:51 秋の空>消しゴム
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