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想い舞う頃


「私は……強くなんてないよ」

私は思った事も言えない、そんな、弱い人間だよ。

そんな思いを込め、小さく呟いた。

そうしたら、奏は少し悲しそうに笑って言った。

「僕には出来ないよ……」と。

「何を……?」

「自分と違う考えに納得する、そんな事……」

「私だって……」

納得してる訳じゃない。

決して。

ただ、奏と違って言いたい事が言えないだけだよ。

普段はあんなに騒いでるのに。

こういう大きな事になると、全然なんだ。

奏と私は、真逆な人間なんだ。

「……嫌なら言えば良いじゃん。嫌って」

私の思ってる事が分かってるような奏の言葉。

隣を歩く奏を見れば、真剣な瞳がこちらを向いた。

その瞳の真剣さは、ほとんど光のないここでもしっかりと
伝わってきた。

「『瞬が側に居てくれる事が、私のためなんだよ』って」

ああ、心の声だだ漏れ。

「そうだけど……」

真っ直ぐな奏の瞳から目を逸らすように、私の思ってる事
全てを知っている奏から目を逸らすように、俯いた。

ゆっくりと流れる地面。

瞬の家が遠ざかり、自分の家が近づいていく。

何度も経験したはずなのに、何故かそれが寂しく感じた。

「まあ愛ちゃんも言ってたけど、これはすぐに決めなきゃ
いけないような事でもない。それに、その頃までに瞬くんの考えが変わる可能性だってある。でももし、その頃まで
それがなかったら……」

その時はちゃんと、愛ちゃんの思ってる事。伝えてあげてね、と少し笑って言い、じゃ、と軽く手を振り私とは逆の方へ進んで行く奏。

暫く奏の後ろ姿を見送る。

奏は、何故あんなにも真っ直ぐな人なんだろう。

ぶつかる事もあるかも知れない。

だけど……奏のそんな生き方は、私の憧れだ。

……なんて事を、思いながら。


ふと手首の時計を見れば、針は7時をさしていた。

日も短くなったな。

もうそろそろ、秋が来る。

切ない秋が。

奏めっちゃ喋る…!Σ(゚д゚*)
<2016/11/13 13:45 秋の空>消しゴム
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