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想い舞う頃


仕事終わり、終わりの近づく夏の夕焼けの下。

奏の家へ向かって歩いてる。

奏から連絡があった訳ではない。

私から連絡をした訳でもない。

けど……何となく話がしたいと思った。

頭の中を整理しようとして向かってるのかな。

分からないけど、瞬と直接会う勇気はないから奏の元へ。

「ありがとうございました〜」

お客さんに頭を下げ、はぁ、と小さくため息を漏らす彼の背中。

「かーなたっ」

私の声に反応し振り返った奏は、もともと大きな目をさらに大きくした。

「愛ちゃん……どうした?」

「ううん。何となく」

「そっか……今日は瞬くんのとこ行かないの?」

流れそうになった嫌な沈黙を払うように足す奏。

「あ、うん。瞬と会う勇気は……何かなくて」

バカでしょ、と心で言いながら軽く笑った。

「そうだよね……」

そう言うと、少し悲しそうな視線を斜め下辺りに落とす奏。

そんな奏に聞いてみた。

「瞬は……もう決めたのかな?」と。

「……どうだろうね」

愛ちゃんはどうなの?と、逆に聞いてくる奏。

真っ直ぐに、私の目を見て。

「どうって……」

今度は私が視線を落とした。

そりゃ……そりゃ奏と同じだよ。

「奏は? 奏は……瞬が間違ってると思う?」

一度落とした視線を奏へ向ければ、綺麗に重なる、私達の目。

「間違ってるとまでは思ってないけど……」

「けど……?」

私が聞き返すと、奏は暗い表情を浮かべた顔を下へ向けた。

そして、私の名前を言いかけたところで止めた。

「何であの答えを選んだのかが分からないから……」

瞬が、あの答えを出した理由……

「私も分からない……」

「嫌だよ……」

彼の中で何かが大きくなったらしく、少し震えた奏の声。

「何が?」

「余計な事を考えて……あの答えを出したなら……」

それだけは絶対嫌だ……、と呟く奏。

「余計な事……」

「愛ちゃんはどう思ってるの? 今、何を思ってる?」

真っ直ぐすぎるほどの奏の目。

それから逃げるように、夕焼け色に染まった地面を眺めた。

<2016/11/18 15:33 秋の空>消しゴム
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