木曜日。
呼ぼうと思っていた奏が、自分から俺の家に来た。
何でも話がある、らしくて。
俺も1つ、奏に頼みたい事があった。
「……ねぇ」
「……あのさ」
同時に言う、俺と奏の真面目な声。
目を合わせ、それで先に言えと譲り合う。
「あの……」
先に折れたのは俺で、弱々しく言って握った。
胸元で光る、愛とお揃いの指輪を。
「これ、……外してくれないか」
俺が言い切ると奏は、何を考えてるの?とでも言ってきそうな目で俺を見つめた。
「えっ、何故にそれを?」
「……いや。何となく」
「いやいや、何考えてんの? 愛ちゃんとお揃いなんだよね?」
奏……
知ってたんだな。
あぁ、だから2人を追い返した後、1人で来た時あんな事を……
でも、今回これを外すのは愛を嫌いになったからじゃない。
その逆、愛が好きだから。
「あぁ。……だから、外して欲しい」
「良いの?」
もはや心配にも似た視線を向ける奏の目を見て頷けば、
奏も、そう……、と頷いてくれた。
奏が静かに俺の後ろに立つと、カチャッ……と小さな音を
立てて外れる胸元の指輪。
ありがとう、と奏の方へ車椅子を向ければ、右手に返って来た、ネックレスのチェーンに通った指輪。
「……愛は、……俺が死んだら悲しむかな」
右手に乗った指輪を見ていたら、そんな疑問が浮かんだ。
「そりゃそうでしょ。知ってる? 愛ちゃんがどれだけ
瞬くんの事が好きか」
普段通りにそう言った声とは違い、真っ直ぐと真剣な視線を送ってくる奏。
俺が何も言えずにいると、奏は続けた。
「ねぇ、知ってる? 愛ちゃん、瞬くんとのこれからの
ために勉強してたんだよ?」
「……は?」
高校の頃、読書感想文すら自分でやろうとしなかった愛がか?
「愛ちゃんの部屋、医学系の本でいっぱいだった。
厚めのノートも、全ページに色が付いてた」
愛……
「愛ちゃん、今でも待ってる。信じてる。瞬くんの考えが…
変わる事を」
「…そうか……」
「もう一回、ちゃんと考えてくれない? すぐに答えを
出す必要もない。だから、ゆっくり、ちゃんと」
目線を合わせ、しっかりと俺の目を見捉えて言う奏。
「考えなら、……もう変わったよ」
「えっ、じゃあ」
パッと花が咲いたように明るくなる奏の顔。
本当分かりやすいな、コイツ。
けどごめんな、奏。
『着けない』という決断に対する想いが変わっただけなんだ。
「まあ、ってな訳で。今日、愛を呼んでくれないか?」
「……えっ?」
「ん?」
何 動揺してんだ?コイツ。
呼ぼうと思っていた奏が、自分から俺の家に来た。
何でも話がある、らしくて。
俺も1つ、奏に頼みたい事があった。
「……ねぇ」
「……あのさ」
同時に言う、俺と奏の真面目な声。
目を合わせ、それで先に言えと譲り合う。
「あの……」
先に折れたのは俺で、弱々しく言って握った。
胸元で光る、愛とお揃いの指輪を。
「これ、……外してくれないか」
俺が言い切ると奏は、何を考えてるの?とでも言ってきそうな目で俺を見つめた。
「えっ、何故にそれを?」
「……いや。何となく」
「いやいや、何考えてんの? 愛ちゃんとお揃いなんだよね?」
奏……
知ってたんだな。
あぁ、だから2人を追い返した後、1人で来た時あんな事を……
でも、今回これを外すのは愛を嫌いになったからじゃない。
その逆、愛が好きだから。
「あぁ。……だから、外して欲しい」
「良いの?」
もはや心配にも似た視線を向ける奏の目を見て頷けば、
奏も、そう……、と頷いてくれた。
奏が静かに俺の後ろに立つと、カチャッ……と小さな音を
立てて外れる胸元の指輪。
ありがとう、と奏の方へ車椅子を向ければ、右手に返って来た、ネックレスのチェーンに通った指輪。
「……愛は、……俺が死んだら悲しむかな」
右手に乗った指輪を見ていたら、そんな疑問が浮かんだ。
「そりゃそうでしょ。知ってる? 愛ちゃんがどれだけ
瞬くんの事が好きか」
普段通りにそう言った声とは違い、真っ直ぐと真剣な視線を送ってくる奏。
俺が何も言えずにいると、奏は続けた。
「ねぇ、知ってる? 愛ちゃん、瞬くんとのこれからの
ために勉強してたんだよ?」
「……は?」
高校の頃、読書感想文すら自分でやろうとしなかった愛がか?
「愛ちゃんの部屋、医学系の本でいっぱいだった。
厚めのノートも、全ページに色が付いてた」
愛……
「愛ちゃん、今でも待ってる。信じてる。瞬くんの考えが…
変わる事を」
「…そうか……」
「もう一回、ちゃんと考えてくれない? すぐに答えを
出す必要もない。だから、ゆっくり、ちゃんと」
目線を合わせ、しっかりと俺の目を見捉えて言う奏。
「考えなら、……もう変わったよ」
「えっ、じゃあ」
パッと花が咲いたように明るくなる奏の顔。
本当分かりやすいな、コイツ。
けどごめんな、奏。
『着けない』という決断に対する想いが変わっただけなんだ。
「まあ、ってな訳で。今日、愛を呼んでくれないか?」
「……えっ?」
「ん?」
何 動揺してんだ?コイツ。
