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想い舞う頃


間違ってない、大丈夫。

そう言い聞かせ、10分程の時間が経った。

玄関の方でガチャガチャと音がし、愛を連れた奏が帰って来た。

「……ごめんな、いきなり」

「全然? どうせ暇だしさっ」

むしろ嬉しいよ、と笑ってくれた愛に、そうか、と返す。

「あぁ、愛に渡したいものがあるんだ」

渡したいもの?と首を傾げる愛の手に、ネックレスチェーンに通した指輪を握らせた。

チェーンごと。

その手を開いた愛は、何で?と問うように俺を見つめる。
 
「それは、愛が持っててくれ」

「私が?」

「うん。そうしたら……愛は俺を忘れずにいてくれるだろ?」

俺が聞くと、愛は一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに笑ってくれた。

「バカじゃないの? こんなものなくたって、私は瞬を
忘れたりしないよ」

絶対に

最後に続けられたその言葉に、情けなくも泣きそうになった。

愛の前でなんて泣きたくなくて、下を向いた。

視界が滲み、涙が溜まっていくのを感じていると、愛の少し暗くなった、小さな声に名前を呼ばれた。

ゆっくりと顔を上げれば、愛の悲しそうな顔が滲む視界に入り、また間違えてるんじゃないかと不安になった。

<2016/11/27 01:52 秋の空>消しゴム
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