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想い舞う頃


「そのイジメって、そんなに酷かったの?」

「まぁ、いつ見ても、痣とか傷はあったな」

自分から聞き出したくせに、聞いてるのが辛くて目を逸らした。

そんな私に、瞬は続ける。

「そんな奏が放課後、夕陽に照らされたどこかに座ってた」

放課後と夕陽に照らされた、は覚えてるのに場所は覚えてないんだ、とか思いながら、うん、と相槌を打てば、瞬は少し驚いたように私を見る。

そして少し笑って、さらに続けた。

「どうしたの、って聞けば、何でもない、って」

それには、頷けなかった。

その言葉の後に続く会話が、大体想像出来てしまったから。

「そんな訳ねえだろ、って言ったら、僕が悪いんだ、って」

やっぱり。

「…そ、れで?」

「とりあえず何があったか聞いて、色々えらい事んなってたから、家呼んで。それから、ずっと…」

「仲良いんだ?」

「そっ。瞬くん瞬くん、って」

それがまた可愛くてさ、と優しく笑う瞬。

「小さい子みたいなんだよ」

可愛いのはどっちよ。

私は、最近やっと気付いた。

今まで分かっていなかった、あの気持ちの正体に。

これが、『恋』とかってやつなんだと。

「…何か、ごめんね。あっ、教えて?」

「あぁ、おう」

私はこの時、初めて自分から問題集のページを開いた。


<2016/09/19 20:22 秋の空>消しゴム
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