暫くして両親も帰って来て、夕食や入浴などいろいろして、落ち着いた頃に見た時計は11時をさしていた。
部屋に戻り、親父に手伝ってもらいながらベッドへ。
俺にパジャマを羽織らせると、そのボタンへと伸びてくる親父の手。
「……大丈夫」
「そうか」
親父の、あまり感情のない声に小さく頷く。
「まだ、……出来るから」と。
大きめなボタンを、ゆっくりと穴へ通していく。
時間は掛かるけど、出来る事は自分でやりたい。
両親にも、なるべく迷惑掛けたくないし。
ヘルパーを雇うのは絶対に嫌だと聞かない俺を、つきっきりで介護してくれてる両親だ。
まぁ親父は仕事人間で、昼間は曜日関係なくほとんど母親だけど。
でも親父も、夜はこうして、いろいろしてくれてる。
迷惑なら十分掛けてる。
俺がボタンを留め終わったのを確認すると、そっと布団を掛けてくれる親父。
そしてベッドを倒すと、特に何も言わず部屋から出て行こうとする。
その背中を、咄嗟に呼び止めた。
「何だ」
その背が振り返ると、親父と目が合った。
少し照れくさいけど、その目を合わせたまま言った。
「……ありがとう」
いつも、いつも。
そしてやっぱり、ごめん。
働けなくて、恩、返せなくて。
こっちはそんな気持ちでやっと言ったのに、親父のヤツ、笑いやがった。
「初めて言われたよ」と。
けど、そう言う親父の顔には、珍しく笑みと呼べる笑みが
浮かんでいた。
ありがとう
やっとそれを言えたという達成感からか、新鮮な親父の笑顔につられてか。
よく分からないけど、気づけば俺も笑っていた。
「それだけか」
「あぁ、まぁ……」
何だか恥ずかしくて、親父から目を逸らす。
そうしたら、意外な言葉が飛んできた。
「……おやすみ」と。
親父にしては、優しい声で。
「おやすみ」
それに、素直にそう返す俺の声。
パチッ、という音の後、暗くなった俺の部屋に、ガチャッ、というドアの閉まる音が響いた。
暗闇を眺め、ひとつ、密かに誓った。
愛と奏に必ず、ありがとうを伝える、と。
そして愛には、言葉では言い表せないくらいの、好きも。
部屋に戻り、親父に手伝ってもらいながらベッドへ。
俺にパジャマを羽織らせると、そのボタンへと伸びてくる親父の手。
「……大丈夫」
「そうか」
親父の、あまり感情のない声に小さく頷く。
「まだ、……出来るから」と。
大きめなボタンを、ゆっくりと穴へ通していく。
時間は掛かるけど、出来る事は自分でやりたい。
両親にも、なるべく迷惑掛けたくないし。
ヘルパーを雇うのは絶対に嫌だと聞かない俺を、つきっきりで介護してくれてる両親だ。
まぁ親父は仕事人間で、昼間は曜日関係なくほとんど母親だけど。
でも親父も、夜はこうして、いろいろしてくれてる。
迷惑なら十分掛けてる。
俺がボタンを留め終わったのを確認すると、そっと布団を掛けてくれる親父。
そしてベッドを倒すと、特に何も言わず部屋から出て行こうとする。
その背中を、咄嗟に呼び止めた。
「何だ」
その背が振り返ると、親父と目が合った。
少し照れくさいけど、その目を合わせたまま言った。
「……ありがとう」
いつも、いつも。
そしてやっぱり、ごめん。
働けなくて、恩、返せなくて。
こっちはそんな気持ちでやっと言ったのに、親父のヤツ、笑いやがった。
「初めて言われたよ」と。
けど、そう言う親父の顔には、珍しく笑みと呼べる笑みが
浮かんでいた。
ありがとう
やっとそれを言えたという達成感からか、新鮮な親父の笑顔につられてか。
よく分からないけど、気づけば俺も笑っていた。
「それだけか」
「あぁ、まぁ……」
何だか恥ずかしくて、親父から目を逸らす。
そうしたら、意外な言葉が飛んできた。
「……おやすみ」と。
親父にしては、優しい声で。
「おやすみ」
それに、素直にそう返す俺の声。
パチッ、という音の後、暗くなった俺の部屋に、ガチャッ、というドアの閉まる音が響いた。
暗闇を眺め、ひとつ、密かに誓った。
愛と奏に必ず、ありがとうを伝える、と。
そして愛には、言葉では言い表せないくらいの、好きも。
