そこには、何もなかった。
ここがどこかも分からない。
唯一確かなのは、隣に瞬が居るという事だけ。
そして、風もないのに桜が舞っているという事。
それも、やたらとゆっくり。
ここには、光もなければ闇もない。
周りも、地面も。
全部が白に染まっていて、それを邪魔する影もない。
「綺麗だね」
そんな怖いはずの場所なのに、桜を見るとそれだけでいっぱいになる。
「……瞬?」
けど瞬に繋いでいた手を離されると、一気に怖く、不安になる。
瞬は意地悪だ。
私がそう感じる事を知っているように、私を置いてどこかへ進んで行くんだから。
「ちょっと、ちょ待ってよ!」
えっ……?
動かない。
瞬を追おうとする足が、彼の背中へ伸ばそうとする手が。
全てが、固定されたみたいに。
「瞬っ、嫌だ…… 待って……」
全ての力を使い切るイメージで瞬の名を叫べば、彼はやっと振り返ってくれた。
けど瞬は、初めて見るくらいに優しく微笑むと、再び足を動かし私から離れていく。
「嫌だ、瞬 待って!」
体が動かない恐怖と瞬が消えてしまいそうな恐怖で、顔は
涙でぐしゃぐしゃだった。
それでも瞬は、止まってくれない、振り返ってくれない。
どうしよう……
瞬が居なくなっちゃう。
瞬が遠くに行っちゃう……
瞬が、瞬が…………
そしてやっと、体が動きそうになった時。
私の体も浮きそうなくらいの強い風が吹いた。
何とか開けている目の前では、たくさんの桜の花びらが渦を巻いている。
それが風を作っているのか、風がそれを作っているのか
分からないけど、かなりの強風であることには違いない。
「瞬ーーッ!!」
飛ばされそうな暴風の中、動くようになった体すべてを使い、瞬の名を叫んだ…………
ここがどこかも分からない。
唯一確かなのは、隣に瞬が居るという事だけ。
そして、風もないのに桜が舞っているという事。
それも、やたらとゆっくり。
ここには、光もなければ闇もない。
周りも、地面も。
全部が白に染まっていて、それを邪魔する影もない。
「綺麗だね」
そんな怖いはずの場所なのに、桜を見るとそれだけでいっぱいになる。
「……瞬?」
けど瞬に繋いでいた手を離されると、一気に怖く、不安になる。
瞬は意地悪だ。
私がそう感じる事を知っているように、私を置いてどこかへ進んで行くんだから。
「ちょっと、ちょ待ってよ!」
えっ……?
動かない。
瞬を追おうとする足が、彼の背中へ伸ばそうとする手が。
全てが、固定されたみたいに。
「瞬っ、嫌だ…… 待って……」
全ての力を使い切るイメージで瞬の名を叫べば、彼はやっと振り返ってくれた。
けど瞬は、初めて見るくらいに優しく微笑むと、再び足を動かし私から離れていく。
「嫌だ、瞬 待って!」
体が動かない恐怖と瞬が消えてしまいそうな恐怖で、顔は
涙でぐしゃぐしゃだった。
それでも瞬は、止まってくれない、振り返ってくれない。
どうしよう……
瞬が居なくなっちゃう。
瞬が遠くに行っちゃう……
瞬が、瞬が…………
そしてやっと、体が動きそうになった時。
私の体も浮きそうなくらいの強い風が吹いた。
何とか開けている目の前では、たくさんの桜の花びらが渦を巻いている。
それが風を作っているのか、風がそれを作っているのか
分からないけど、かなりの強風であることには違いない。
「瞬ーーッ!!」
飛ばされそうな暴風の中、動くようになった体すべてを使い、瞬の名を叫んだ…………
