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想い舞う頃


勉強開始から約30分。

問題集から発される睡眠ガスが半端じゃない。

「シューくん?」

「シューくん禁止。教えてあげるから、厳禁」

「じゃあ白髪で良いや」

そう言って、自分のシャーペンで染められた瞬の髪をイジった。

「は、白髪?」

全部白い訳じゃないけど。

何て言ったかな、これ。

部分的に染めるやつ。

男の子以上にオシャレに興味が無いのかと、自分に驚く。

「本当さあ、その見た目でよく学校入れたよね」

「だから、俺 真面目なのよ。学校じゃ凄え大人しいし」

いや、大人しいという事はない。

絶対ない。

普通に抜け出すし。

大人しいっていうのは、奏みたいなのでしょ?

だから、中学の頃。

「カナの事は気にすんな。あの頃一緒だった奴らは、俺も知らねぇような学校へ。カナもそんな気にしてねぇし」

良い奴だな、と笑う瞬。

その笑顔が眩しくて、目を逸らす。

ってか、何で考えてる事分かるの!?

「だから、今まで通り一緒に居てやってくれ?」

まぁ、と言って頷いた。

瞬はまた笑った。

本当、眩いぜ。

こっちゃイチコロだい。

「あ、教えてー?シュー、くん?」

「まぁ、良いけどさあ…」

「ねぇ、ここは何?」

「俺に聞いてどうすんだよ」

小学校の頃、先生によく言われた。

お前もそのタイプかい。

けど、瞬だと先生ほど嫌じゃない。

本当、コイツは凄いよ。

「で、……OK?」

「えっ?何?」

「何、じゃねぇよ。えっ、聞いてた?」

「すんません」

瞬は、ちゃんと聞いとけよ、と笑って、もう一度最初から教えてくれた。

その説明はまあ分かりやすいもので。

「…OK?」

「うーん…」

「ちょい、ほんとに?」

「大丈夫。大体は理解出来たつもりだから」

つもりじゃ困んだよ、という声と共に、笑顔とデコピンが飛んできた。

「あぁー、卒業したらどーすっかなー。瞬は?」

「んな先の事ぁ分かんねぇよ」

私の言葉にそう返し、自分の問題集をどんどん染めていく瞬が、とてもカッコ良く見えた。

先の事は分からない、か。

そうだよね。

私なんか、目の前の宿題も分からないのに。

「おーい?」

「あぁ、はい?」

カッコ悪い返事をすれば、また鼻で笑われた。

慣れてしまったのか、本当にそうなのか。

バカにされている感じは全くなかった。

「1年間の中で、どの季節が一番好き?」

「え?季節?」

「俺は春が好きなんだよなぁ」

そう言って頬杖をつき、窓の外を眺める瞬。

その横顔は、まあ綺麗なものでありました。

まぁ、視線の先の窓に広がる季節は、夏だけど。

「私も春、好きだよ」

瞬と、奏と。

逢った季節だから。

「瞬は何で春好きなの?」

「愛と話すようになった季節でもあるし、中学の頃には、奏と仲良くなった季節だから」

同じような事思ってる、なんて思った時。

思い出が出来た時には、いつだって桜が咲いてた

瞬は、どこか寂し気に。

そう呟いた。

<2016/09/20 16:39 秋の空>消しゴム
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