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想い舞う頃


「みやっち おつかれ〜」

長い長い仕事が終わり、友達にそう声を掛けられる。

おつかれ、と簡単に返すと、私はさっさとお店を出た。

ふわっと頬を撫でる風は、すっかり春のものになっていた。

「春……」

瞬との想い出が、たくさんある季節。

出逢って、丘に行って、そこでいろんな約束をして。

「瞬……」

今年も、会えたら良いのにな。

丘の上で、桜の舞う中、瞬に。


……なんて甘い夢を見ながら、ゆっくりと家へ向かう。

分かってるよ。

分かってるけど……

瞬は、私にとって大きすぎた。

大切すぎて、好きすぎた。

そんな瞬が居なくなった今を、瞬が居たらと考えずに過ごすなんて私には出来ない。


気づけば、自分の家の前まで来ていた。

空を見上げれば、春の澄んだ空が視界いっぱいに広がる。


瞬、

今日も、平和に過ごせたよ。


暫く空を眺め部屋へ戻れば、無くなっていた。

瞬の、指輪が。

<2016/12/18 14:04 秋の空>消しゴム
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