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想い舞う頃


すぐに部屋中を探した。

瞬を感じられる、あの指輪を見つけるために。


ーーそれは、愛が持っててくれ

ーーそうしたら……愛は俺を忘れずにいてくれるだろ?


そんな、瞬の想いが詰まった指輪を見つけるために。

机の引き出しから、ベッドの下や服のポケットまで。

だけど、どこにも無かった。

そして気がついたら、ここに居た。

瞬と毎年来ると約束した、丘の上に。

桜の木に手のひら全体で触れ、瞬に話すように1人話し出す。

「ごめんね。瞬の指輪、失くしちゃった。……でも、絶対必ず見つけるからっ」

なんて言っても、もう可能性がある場所は全て探した。

絨毯の下にでも もぐっちゃったかな……


「愛」


ふと、瞬の声が聞こえた気がした。

そんなはず、ないのに。

瞬の声で言葉を作るの、どれだけ上手くなっちゃったんだろう。



そう、あの優しい声で呼んでほしくて、頭の中でその夢を叶えたんだろう。


「愛」


「……えっ?」

本当に聞こえてる……?

「瞬……?」

瞬が居るの?

瞬が今、ここに……?

驚きと期待が混じったような、言葉にするのは難しい気持ちで後ろを向き、辺りを見渡す。

すると、1人。

誰かの姿を見つけた。

<2016/12/19 17:49 秋の空>消しゴム
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