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想い舞う頃
- 高校1年 【冬】 -

寒い冬の夜。

木の幹を彩る金色の光が、冬の夜も照らしている。

私達が居るそこでは、殆どの女性が素敵な男性と腕を
絡め、素敵な笑みを浮かべている。

私もそこに馴染むように、瞬と手を繋いでいる。

瞬の飾らなくなった左手から、私の少し飾るようになった
右手に感じる温もりが、とても落ち着いた。

この日も、奏は忙しいらしく、一緒に来る事は出来なかった。

何が忙しいのかは分からないけど、そんな時期に誘って
しまったのが申し訳ない。

けど奏は笑って、楽しんでと言ってくれた。

私の周りには、良い人が沢山。

一緒に居てくれる瞬といい、笑ってくれた奏といい。

「寒くねぇ?」

そんな瞬が、優しく聞く。

「うん…ちょっと寒いかな」

素直にそう言い、軽く腕をさすり歩みを止め、瞬と向き
合うようにする。

「だから…ぎゅってして?」

少し恥ずかしかったけど更に素直になって、高い位置に
ある瞬の顔を見上げた。

「良いよ」

優しくそう言われたと思えば、すぐに瞬の温かさに包まれた。

それに甘えて、私も瞬に抱きつく。

その体は意外としっかりしてて、何だか落ち着いた。

「ふふっ。こんな事してたら、恋人同士に見えるかもね」

「俺は良いけどね」

少し照れたように言う瞬が、可愛かった。

「やめてよ。期待するよ?」

「良いよ。…嘘じゃねぇし」

えっ?

今、なんと?

思わず瞬のダウンコートにうずめていた顔を上げる。

そうすれば、私を見下ろす瞬の顔には、フッ、という鼻での笑いの後、笑みが浮かんだ。

「好きだよ」

素敵な笑顔で、優しく囁くように言われたその言葉。

まただ。

また、弾が飛んできた。

お陰で冬の寒さも忘れられる。

けど、言いたかったから。

頬を赤く染め、私も言い返すように言ってやった。

「私も好きだよ」と。

この、高校1年のクリスマスから、私達の関係は変わった。


<2016/09/30 23:25 秋の空>消しゴム
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