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想い舞う頃


昼休みになり、斜め後ろの席に人の気配が無い事に気付いた。

チラッと確認してみると、気配は無いのに奴は居た。

その彼の視線は窓の外へ向いていた。

「…何」

「えっ、いや、別に…」

「何も無くて爆発物見るみたいに人の事見ねぇだろ」

「ば、爆発物って」

彼は笑った。

鼻で。

基本、周りの人間を見下してる。

頭は良いみたいだけど。

顔良し 脳良し、性格は?

「ねぇ、あんた友達居る?」

「ご心配無く」

別に心配してる訳じゃないし。

「なってあげても良いけど」

「はあ!?」

それ、私が言ってあげようとした言葉なんだけど。

「嫌なら良いけど。絡むのって面倒くさいもんな」

「え、えぇ。面倒くさいわよ?私は、1人で良いのっ!」

あまりにも嘘くさい自分の言葉で気付いた。

私、この人と友達になりたいんだ、と。

「愛ってさ、俺より友達居なそうだよね」

「バカ!私は1人が……って、今、なんと?」

「宮野 愛ってあんたの事じゃなかった?」

「そ、そうだけどさあ。何で知ってんのよ」

「クラスも一緒だし。席も近いし」

こっちはあんたの名前を覚えるのに苦労してるというのに。

1時間目の休み時間に聞いたけど、忘れちゃった。

あれから3時間分の勉強内容叩き込んだからね。

「愛で良いよね」

「えっ、あ、良いけど…」

あなたの名前は……

「俺の名前知らないでしょ」

「バカッ!山、えっと、山田さんでしょ?」

何とかそう答えれば、バカはどっちだよ、とかなり失礼な言葉が返された。

『山』って付いてなかったっけ。

「はい、良かったら覚えといて」

その言葉と共に差し出された、1枚の紙。

そこに書かれていたのは、彼の名前だと思われる漢字が、
3文字。

「はやま?」

「そっ。葉山 瞬」

今朝言ったはずなんだけど、と言う彼の顔に、微かに笑みが浮かんでいたように見えた。


<2016/09/17 11:37 秋の空>消しゴム
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