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想い舞う頃


蚊取り線香と、花火の匂いが混ざる夜の下。

私達の持つ花火は、カラフルな火花を散らしていた。

去年と全く同じ光景なのに、初めてのように楽しい。

唯一去年と違うのは、花火をやる場所くらい。

「きれーい」

花火が火花を散らす音と共に消えていった、私の声。

ろうそくと花火によって、微かに照らされた辺り。

それによって見える、緑や赤の、カラフルな煙。

それはふわふわと舞っていき、やがて消えた。

「おっ」

火花を散らし終えた花火は、ただの棒になった。

それを、水の入ったバケツへ放れば、ジュッ、と小さな音がした。

「ではでは。ラストは線香花火でしっとりと」

奏の声で、ラストが哀しい線香花火が始まった。

全体的に丸い火花を散らす線香花火。

「本当 可愛いよね、線香花火」

この小さな灯りを眺めていると、いつも思う。

そして、いつもそう呟く。

「可愛い、なぁ…」

「バカにしてるよね」

「してないっすよ?……フッ」

それのどこがバカにしてないのよ。

最後笑いやがったし。

「もう良いわよ、って。終わっちゃったじゃん」

「終わんなきゃ危ねぇだろ」

「んもぉ」

仕方なく、終わってしまった線香花火をバケツへ。

花火は終わってしまったのに、辺りはそんなに暗くなかった。

それは、空を見れば分かった。

「こっちも綺麗」

この日、凄く星が綺麗だった。

だから、夕方に見つけた私の一番星はもうどれだか……

「夕方、どれを見つけたんだろう」

夕方は、あんなに光ってたのに。

周りの星も、凄い光ってて。

「でも、あれが無かったらもっと寂しいんじゃない?この
星空」

「そうだね。一番光ってるんだもんね」

あんなに小さいのに、あんなに光ってる。

「私も、星みたいになりたいな」

「…星?」

瞬の不思議そうな声に、頷いた。

「小さくても、ちゃんと光っていたい」

「もう…十分だろ」

「ふふっ」

嬉しすぎて笑ってしまい、瞬と手を繋いだ。

私が手に触れれば、彼は当たり前のように手を繋いでくれる。


もし、私が光ってるなら。

それは、瞬が居るからだよ。

瞬と居るから、私は光っていられるんだ。

瞬が隣で、輝いてるから。

<2016/10/11 15:47 秋の空>消しゴム
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