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想い舞う頃


楽しかった時間は去り、就寝時間に。

少し前まで起きていた同じ部屋の子達も、もう寝てしまったらしい。

私は暗い部屋で、眠れず1人でゴソゴソと動いていた。

「……だれ?」

小さな声が聞こえ、体がビクリと反応した。

「し、志穂…?」

「あれっ、愛?」

確かに志穂の声。

「そうだよ。ごめんね、起こしちゃった?」

「ううん。ウチも寝てなかったし」

「そっか」

自分以外に起きている人が居た事が嬉しくて、私達はクス
クスと笑った。

志穂は、部屋が同じになった事をきっかけに仲良くなった子。

この子はマイペースで、良い子なんだけど周りの人がついていけないって感じで、友達が少ない子。

友達少ない同士、上手くやっていくつもり。

「ねぇねぇ、何で2人と仲良くなったの?」

「…2人?」

「うんっ。葉山くんと奏くんっ!」

ふふふっ、と楽しみそうに、可愛らしく笑う志穂。

そんなに期待されても、覚えてないしな……

「うーんっと。奏はね、1年の頃に廊下でぶつかったの」

「1年!?」

小声に、けど思い切り驚く、器用な志穂。

それに、驚きながらもうん、と頷いた。

「1年って凄くない?奏くん、1年の頃は今みたいな感じ
じゃなかったんだよ?」

今の奏は、周りの雰囲気を穏やかにするプロ、と言っても
大袈裟じゃないくらい、同級生を癒している。

そんな奏が、1年の頃は違ったらしい。

「どんな人だったの?」

「もうね、分からない。本当に怖かった」

ゴソゴソという布が擦れる音と共に、志穂の声で、そんな
言葉が聞こえた。

「怖かった…?」

思わず聞き返す。

「うん。表情も変わらないし、全然話さないって感じ」

「へぇ〜」

今の奏からは、全く想像できない情報。

特に、今日の昼間の姿を見た今の私には、余計に。

今日の奏は、今までの奏と比べると、言葉が悪くなってた。

悪くと言うより、男子らしく、かな。

だから、全く喋らないなんて言われても、全く。

しかも、凄い笑ってたし。

「でもあれか」

「何?」

「今でも怖い時ある」

「どういう時に怖くなるの?」

うーん、と志穂が考えている間に、布団に入った。

流石に、冬に布団も掛けずにおしゃべりはハードル高い。

「あっ!」

どうやら答えが出たらしい志穂。

「女子が話し掛けた時とか、可愛いって言うと、怖くなる」

それ、ただ単に可愛いって言われたくないだけじゃないの?

「でも、それくらいでしょ?理由は分かるじゃん」

「まあねっ。あっ、明日のためにもそろそろ寝な?
ウチから語っといてごめんね。おやすみ」

「ううん。新情報ありがとね。おやすみ」

はーい、という声の後、ゴソゴソと音がして志穂も布団を
掛けた事を確認して、目を閉じた。


<2016/10/14 21:28 秋の空>消しゴム
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