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想い舞う頃


彼が名前を教えてくれたあの日から、数日が経った今日。

その頃には、彼とも大分話すようになっていた。

新たな友達を作った私は、暇つぶしに廊下を歩いていた。

そんな今は昼休み。

名も知らぬ男の子が言ってたけど、確かに彼はカッコイイ。

休み時間にはたくさんの女子が席の周りに集まってくる。

そんな彼の斜め前にある、私の席の周りにも結構集まってくる程。

だから、休み時間はあまり落ち着かない。

けど、この昼休みだけは1人。

有り難く、その1人の時間を満喫する。

満喫すると言っても、ただ廊下を歩くだけ。

そんな時間は後どれくらいだろう、なんて思い、左手首にあるお気に入りの腕時計を確認した。

その時計の針が示していたのは、昼休み終了、5分前。

午後の授業にむけてリラックスしておこうと、腕を上げた時。

何かにぶつかる感覚で現実の世界へ引き戻された。

腕をおろして目を開ければ、小柄な男の子が尻餅をついて私を見上げていた。

上履きの色からして、同じ学年らしい。

「ごめんね、大丈夫?」

そう言って手を差し伸べれば、彼は少し驚いたような顔をした。

「大丈夫?」

「はい、僕は…」

結局、差し伸べた手は何の役にも立たず、おろす事に。

彼はこの私に対して深めに頭を下げ、逃げるようにその場を去った。

この学校にも大人しそうな子って居るんだ、なんて思いながら、彼の後ろ姿をしばらく見つめてしまった。


<2016/09/17 11:59 秋の空>消しゴム
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