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想い舞う頃


かき氷の取り合いが終わり、手には水ヨーヨーひとつ。

ただ歩いてるだけなのに、凄く楽しい。

「瞬…」

瞬の顔を見上げる。

「あっ」

聞いてないし。

この自由王子が。

瞬の顔から、瞬の視線の先を辿る。

「……かなた?」

「やっと会えたな。友達に」

感じ悪ッ。

「奏」

瞬が手を上げれば、それを合図にしたように駆け寄ってくる奏。

ご主人様が大好きな犬みたいに。

「あ~、やっと会えた〜」

あっちも同じ感じだったみたい。

「今抜けてきたの?」

「そうだよ〜?やっと逃げてこれたー」

……んん?

逃げてこれた?

誰に捕まってるの?

事件じゃん。

「後でお仕置きだな」

「嫌なこと言うねぇ」

イタズラっぽく言う瞬に、困ったように笑う奏。

「でも結構楽しそうにやってねぇ?」

「そうするしかないんだよ!楽しい訳ないでしょうよ!」

えっ、そうするしかない?

何やらされてるの?

「もう地獄だって、あんなの。やってみれば分かるよ」

「やだよあんなの。まずまず俺向いてねぇし」

向き不向きの問題?

ああ、凄い気になる。

「いや、瞬くんの方が良いって」

「あー、でもウチ、間に合ってるんで」

「あの、奏どっから逃げてきたの?しかも、何でこんな
とこに居るの!?」

遂に溢れた疑問を思い切りぶつける。

「あ~、ちょっとね」

「な〜」

何、その奏の誤魔化し感と、瞬の俺知ってます感。

「そうだ。ここ来るまでに見てきたんだけど、瞬くんの
お仕事あったよ」

「何か欲しいモンあった?」

「僕はもう良いよ。愛ちゃんだよ」

えぇっ、私?

「瞬くんね、射的すーごい得意なの。お陰でウチには要らんモンがいっぱい」

そうなんだ…、と笑っておく。

奏は何でそんなに平気で居られるの?

逃げてきたんだよね?

いろいろな心配で頭がいっぱいになった頃には、2人の
後ろ姿は小さくなっていた。

「もう!」


<2016/10/19 17:29 秋の空>消しゴム
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