おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
想い舞う頃


パインも食べ終わり、奏を心配しながらボーッとしていると、ドーンという大きな音と共に、夜空に大きな花が咲いた。

「きれーい」

それを見ると、奏の心配は忘れてしまう。

簡単な事で、小さな事で忘れられる、最高に単純な私。

ふと周りを見れば、この土手も混み始めていた。

ここはよく見えるから、みんな集まってきたのだろう。

そんな中で見つけた、携帯を構えた瞬。

「撮るの?」

「えっ、あぁ。記念にな」

瞬ったら、可愛いんだから。

記念だなんて。

「じゃあ、私も撮ろっかな」

パインの無くなった軽い棒を咥え、携帯を取り出す。

カメラを立ち上げて空に向ければ、綺麗な花火が画面
いっぱいに広がった。

今までの私は、こんなに写真なんて撮らなかった。

瞬に逢って、瞬と仲良くなって。

私は変わったんだ。

「撮れた?」

斜め後ろ辺りに立つ瞬に問い掛ける。

「あぁ」

「そっか」

満足気に笑って頷く瞬が可愛くて、私も笑ってしまった。

その笑顔が、空に咲く金色の枝垂れ柳よりも綺麗で、空に
浮かぶピンクのハートよりも可愛かったから。



暫くして花火が終わり、ゾロゾロと土手を去っていく人々。

その勢いに流されぬよう、瞬と2人端に寄る。

「奏もまだこの辺に居るかな?」

何となく言ったこの言葉が、さらに変な話へと導いた。

「居るんだうけど、なかなか帰れねぇと思うぜ?」

「ねぇあの、本気で、あの、そういう感じなの?」

自分でも何を言っているか分からなかった。

「今どんな感じか分かんねぇけど。行ってみるか?」

「いやいや、良いわよ」

「あ、そう」

はあ?普通に考えて入れないでしょ?あんなとこ。

もうこの人、何考えてるの?本当に。

今度 絶対教えてもらうんだから。

ただ、聞く勇気が無いだけなんだけど…

聞けるなら今にでも聞いてる。

<2016/10/20 17:40 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.