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想い舞う頃
- 高校3年 【秋】 -

涼しくなってきた、秋。

みんな動きやすいのか、珍しく公園に集まっていた。

この日は、小さな子供や、その親だと思われる人が多い。

そして少し奥に行った、落ち着いた雰囲気の方ではおじ様やおば様が散歩をしていたり。

普段は全くと言って良いほど人が居ないあの公園。

そこが、全く違う場所のように私の目には写った。

「そうだ。みんなさ、卒業したら何するかって決まってるの?」

「奏はまぁ、今んとこでずーっとな?」

ああ、せっかく忘れてきたのに。

思い出しちゃったじゃん。

本当に何やってんの?

「嫌だよ。何であんなとこを?」

なら辞めれば良いんじゃないの?

「ねぇ、奏って何やってんの?」

「あぁ、実はね……」
「すいませーん!」

男の子の声が奏の言葉を遮る。

何?このタイミング。

トンッ、トン…、という音と共に、ひとつのサッカーボールが転がってきた。

瞬の長いジーンズに当たって止まっところで、瞬がそれに
左手を伸ばす。

けど、一度 瞬の左手に乗ったそのボールは、再び地面へと
落ちた。

すぐに拾えば良いものを、瞬は自分の左手を見つめたまま
動かない。

「…大丈夫?」

奏が優しく問い掛け、ボールを投げ返す。

ありがとうございまーす、と、そのボールを追う男の子。

その子に笑顔を返し、瞬にもう一度「大丈夫?」と問う奏。

「あぁ。…ごめんな」

「僕は…別に。あっ、向こう行かない?」

「あ~、良いかも」

イチョウも色付いてきた頃だろう。

あっちの落ち着いた雰囲気の方には、街路樹のように
イチョウの木が植えられている。

私達は、そこに向かって再び歩き出した。


<2016/10/21 17:14 秋の空>消しゴム
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