気付けば、午後の授業も帰りのHRも終わっていた。
そして今居るのは、夕陽によって、同じような影が重なって映し出される学校の自転車置き場。
「おつかれ」
そう声を掛けてくれたのは、斜め後ろの席の彼。
そう言えば、気配無かった。
いや、気配が無くても居るのがコイツだ。
「…おつかれ。抜け出したの?」
「悪い事だとは思ってない」
「思え」
「早いなあ」
「で?何」
いつか彼にも言われた気がして、自分でも少し驚いた。
けどそれを隠して、自転車の鍵を回し、鞄をカゴに入れた。
「特に何ってわけでもないけどさ」
「あっそ」
普通、自転車にまたがってこんな事言ったら帰るんだろうけど、体が動かなかった。
もっと、もう少し。
この人と一緒に居たいと思ってしまった。
「あの、友達に、なってくれない?」
遂に出てしまったその言葉で、私を見た彼の驚いたような顔が、昼休みに見た顔にどこか似ている気がした。
「失礼な奴だな。俺はもう友達だと思ってたけど」
「本当?」
「嘘をついて得をするような場面ではない」
確かにそうなんだけどさ。
「あっ、来た。奏(かなた)っ」
無意識に彼の視線を辿っていた。
「瞬くん」
ん?
どこかで聞いたことのある声。
パタパタと小さな足音がして、視線の先には昼休みの小柄な男の子が居た。
彼も私に気付いたようで、驚いたように目を丸くする。
「あれ、知ってる?」
「昼休み、ちょっとね」
彼は はにかんだように笑って頷いた。
「あっ、大野 奏です」
「私は宮野 愛。よろしくね」
奏は可愛らしく笑って頷いた。
「よしっ、帰んぞ」
斜め後ろの彼の声で、私達はそれぞれ自分の自転車にまたがり校門を出た。
「じゃあ愛、気を付けて」
「うん。じゃあね、…瞬」
何度目かの、瞬の驚いた顔。
何度見ても、可愛いと思ってしまう。
「奏も、じゃあね」
「宮野さん、気を付けてね」
どこか不自然な会話をして、私達3人はそれぞれの家へ
向かった。
2人と別れてから、私は大きな達成感に包まれた。
やっと瞬って呼べた、という達成感に。
「葉山 瞬」
そのうち、慣れるかな。
瞬を瞬と、呼ぶ事に。
不思議だね。
奏の事は、すぐに奏と呼べたのに…
そして今居るのは、夕陽によって、同じような影が重なって映し出される学校の自転車置き場。
「おつかれ」
そう声を掛けてくれたのは、斜め後ろの席の彼。
そう言えば、気配無かった。
いや、気配が無くても居るのがコイツだ。
「…おつかれ。抜け出したの?」
「悪い事だとは思ってない」
「思え」
「早いなあ」
「で?何」
いつか彼にも言われた気がして、自分でも少し驚いた。
けどそれを隠して、自転車の鍵を回し、鞄をカゴに入れた。
「特に何ってわけでもないけどさ」
「あっそ」
普通、自転車にまたがってこんな事言ったら帰るんだろうけど、体が動かなかった。
もっと、もう少し。
この人と一緒に居たいと思ってしまった。
「あの、友達に、なってくれない?」
遂に出てしまったその言葉で、私を見た彼の驚いたような顔が、昼休みに見た顔にどこか似ている気がした。
「失礼な奴だな。俺はもう友達だと思ってたけど」
「本当?」
「嘘をついて得をするような場面ではない」
確かにそうなんだけどさ。
「あっ、来た。奏(かなた)っ」
無意識に彼の視線を辿っていた。
「瞬くん」
ん?
どこかで聞いたことのある声。
パタパタと小さな足音がして、視線の先には昼休みの小柄な男の子が居た。
彼も私に気付いたようで、驚いたように目を丸くする。
「あれ、知ってる?」
「昼休み、ちょっとね」
彼は はにかんだように笑って頷いた。
「あっ、大野 奏です」
「私は宮野 愛。よろしくね」
奏は可愛らしく笑って頷いた。
「よしっ、帰んぞ」
斜め後ろの彼の声で、私達はそれぞれ自分の自転車にまたがり校門を出た。
「じゃあ愛、気を付けて」
「うん。じゃあね、…瞬」
何度目かの、瞬の驚いた顔。
何度見ても、可愛いと思ってしまう。
「奏も、じゃあね」
「宮野さん、気を付けてね」
どこか不自然な会話をして、私達3人はそれぞれの家へ
向かった。
2人と別れてから、私は大きな達成感に包まれた。
やっと瞬って呼べた、という達成感に。
「葉山 瞬」
そのうち、慣れるかな。
瞬を瞬と、呼ぶ事に。
不思議だね。
奏の事は、すぐに奏と呼べたのに…
