おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
想い舞う頃


奏の誕生日、当日。

前日よりさらに派手になった、我が家のリビング。

お菓子や、ちょっとしたケーキ、ペットボトルのジュースが所狭しと置かれたテーブル。

接着剤が乾き完成した、イチから手作りメッセージボードが飾られた壁。

この会場の出来には、私も瞬も満足。

そして、この部屋を見た奏のリアクションには大満足。

いろいろ落ち着いたところで、適当にお菓子をつまむ。

「冬かぁ。奏って誕生日冬だったんだね」

お気に入りの、スティック状のお菓子を食べながら言う。

チョコが かかってる、美味しいやつ。

「そうだよ。あ、言ってなかったもんね。何で知ったの?」

私の隣に座った奏も私と同じものをつまむ。

「昨日かな。瞬が『明日、奏の誕生日なんだよな』って」

「じゃあ、昨日 飾り買って飾って?」

「そうよー?私と瞬が揃ったらすんごい力発揮すんだから」

自慢気に語る私の視線の先では、瞬が口角を上げ、まあな、とノッた。

それに、ねっ?と返し、再びお菓子に集中する。

主役でもないのに。

そう言えば、この日の瞬は珍しく楽しそうだった。

だからノッてくれたんだろうけど。

奏ってすごいね。

瞬を楽しませられる人。

「…瞬くん?」

そんな奏が、少し心配そうに瞬の名を呼ぶ。

「ん?」

それに、いつも通り答える瞬。

「大丈夫?」

「うん。…別に」

ちらりと視線を向ければ、瞬は左手を軽く握ったり開いたりを何度か繰り返していた。


<2016/10/24 11:42 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.