おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
想い舞う頃
- 高校3年 【春】Ⅱ -

卒業前の春、夕方。

この日、2人がウチに来ていた。

奏は…なんて言ってたっけ。

部屋には居ない。

瞬と2人、自分の部屋に。

「咲くかな…」

窓の前に立ち、夕焼けを眺めながら呟いた。

あそこの桜、今年も咲くかな、と思って。

「咲くんじゃねぇか?」

植物は強いから…、と、続けるように呟いた瞬。

「そうだね。また、会えるかな」

高3に上がってすぐの春、会えたように。

「会えんだろ」

「ふふっ」

瞬の、当たり前だ、と言っているような言い方が嬉しくて、笑ってしまった。

会えるよね。

あそこには、私達にとって大きな何かがあるんだ。

だから、きっと。


ガチャ、と部屋のドアが開き、奏が戻ってきた。

「僕、そろそろ帰るね」

そう言って、ミニテーブルに置いてあった携帯をポケットに入れる奏。

「そ〜お?瞬は?」

「じゃあ、俺も帰ろっかな」

「そう……じゃあ行こっか」

2人を見送るため、私がドアの方へ向かった時。

奏が、椅子から立ち上がった瞬に駆け寄るように寄った。

「…大丈夫?」

心配そうな奏の声が聞こえ、振り返る。

その視線の先では、瞬が奏に支えられるような形で立って
いた。

「…立ち眩み?」

「いや……何か…」

少し驚いたように答える瞬の視線は、左下辺りに向いていた気がした。


<2016/10/25 14:10 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.