おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
想い舞う頃
- 高校卒業後 【現在】 -

桜の季節が、今年もやって来た。

だから私は、ここに居る。

1本の桜の木が植えられた、瞬に会える丘の上に。

お互いを求めたら、ここに来る

いつか、約束したね。

瞬、私は覚えてるよ。

瞬と過ごした時間も、話した事も。

その時の気持ちも、場の雰囲気も、何もかも……鮮明に。

そして、それを今、全部思い出してたよ。

瞬とは、高校を卒業してから連絡が取れない。

それで、逢いたくなって……瞬を求めて。

この季節に、ここに来たんだ。

この、お揃いのリングと一緒に。

「瞬…」

高3の春。

あの日は、こうしてここに居たら、瞬は来てくれたね。

今年は……今日は来てくれないのかな。

あのリングが飾ってくれている右手で、携帯を操作する。

今となっては、慣れた操作だ。

瞬の携帯を呼び出す。

『只今、電話に出る事が出来ません』

暫くして電話の向こうから聞こえくる、聞き慣れた感情の
無いアナウンス。

「忙しい…か」

『通話終了』の文字が浮かぶ携帯の画面を眺め、何度そう
言い聞かせてきただろう。

忙しくても、メールくらい返してくれても良いのに…


瞬……

私は今年も、ちゃんと来たよ。

<2016/10/25 16:43 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.