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想い舞う頃


「奏っ!」

奏が居るという瞬の家へ走り、奏を見つけ彼の名を叫んだ。

それに反応し振り返る、携帯を持った奏。

「愛ちゃん…ごめん…」

「ううん」

「最近、ウチにしては少し忙しくて…それで…家戻ってたら…」

瞬の居ない、夕焼けに染まりガランとした瞬の家のリビングに、奏の声が静かに響く。

奏が家の手伝いに戻っている間に、瞬が居なくなったらしい。

瞬が行きそうな場所と言っても、そんなの分からない。

「どうしよ……」

戸惑う奏の隣で、

『もしここに…俺らにとって……大きな何かがあるんなら。
何かあった時は、ここに来ねぇ?』

『1人が辛い時、なかなか会えない時……お互いを求めたら、ここに来る。そうしたら、今日みたいに会える』

いつか、瞬が言っていた言葉を思い出した。

私はその言葉に賭け、玄関に向かって走り出した。

「愛ちゃんっ、どこ行くの」

後ろから奏に呼び止められ、振り返る。

そして、なるべく笑って言った。

「瞬、戻って来るから。奏はここで待ってて?」と。

一瞬、その自信はどっから来んだよ、みたいな顔したけど、最後は笑って頷いてくれた奏。

私も笑って頷き、瞬の家を飛び出した。


瞬、待っててね。

瞬のこと……絶対1人にしないから。


<2016/10/29 11:49 秋の空>消しゴム
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