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想い舞う頃


紫色の空の下、愛と向かう、自分の家。

一歩一歩、歩みを進めている事を確認しながら。

そんな俺に合わせて、ゆっくりと隣を歩く愛。

合わせていないはずがないのに、それを感じさせない。

「いや〜、良かったぁ。瞬が無事で」

「無事って…」

何とか笑顔を作り答えれば、愛は少し後ろで足を止めた。

「…瞬、元気なくない?」

どうしたの?と顔を覗き込む愛。

「別に…何でもねぇから」

家に向かい再び歩き出せば、ねえ、と呼び止められた。

振り返れば、少し悲しそうな愛の顔が視界に現れた。

「ん?」

「…言ってよ。何かあるなら、私に言ってよ」

「ハハッ、ばーか」

…愛は今の俺で良いのか、なんて聞けるかよ。

そんな問いの答えを聞く勇気なんて、今の俺にはない。

だから俺は、何でもねぇよ?と誤魔化して家へ向かった。

愛はそれを小走りで追い、また俺の隣に来た。

我が家が見えてきた頃、我が家の玄関がそっと開いた。

そこから出てきたのは、俺らを心配したのだろうか。

奏だった。

「あっ奏!」

愛が笑顔で手を振れば、奏は安心したように表情を和らげた。

「2人とも遅いよ〜っ。めっちゃ心配したんだよ〜?」

「ごめん ごめん」

「瞬くんど〜こ行ってたのさ」

軽く謝る愛を放置し、俺の元へ来る奏。

普通、俺より愛だろ。

さすが奏、変わってやがる。

「まあ、散歩?」

寄ってきた奏は俺が放置し、そのまま家の中へ。

「ちょ、散歩?って。まぁ無事で良かったけどさあ」

愛と全く同じ言葉に、つい笑ってしまった。

本当そっくりだな、お前ら。

こうして一緒に居ると、このままでも良いんじゃないかと
思わせてくれる、不思議な、優しい何かを醸し出す所も。

<2016/10/29 17:11 秋の空>消しゴム
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