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想い舞う頃


シャーペンを走らせている間に、夢の世界へ行っていた私。

気付けば朝はやって来ていた。

慌ててシャワーを浴び、家を飛び出した。

朝から疲れたせいか、いつも以上の眠気が襲う。

あぁ、早く終わらないものか。

「あの…」

出た、本日最初のお仕事。

ガッカリする気持ちを抑え、はい、と笑顔で振り返る。

……そんな必要も…なかったみたいだけど。

「奏じゃん」

「やっぱり。前から気になってはいたんだ〜。名札も宮野
だし」

じゃあ、やっぱりあれは奏だったんだ。

「で、どうした?」

「ううん。何となく来てみた」

と奏が言う時は、だいたい何かある。

もう嫌だよ?変な事聞くのは。

「そうだ、今日はこの後暇?」

「……暇…だよ?」

忙しい、と逃げたかったけど、今 奏から逃げれば、瞬から
逃げるのと同じ事になる。

瞬からは逃げたくないし、出来る事なら力になりたいとも
思っている。

だから今朝、あんな目に遭ったんだ。

「また…少し話があるんだけど」

「悪い事?」

ニッコリ笑って誤魔化す奏。

あぁ、これは悪い事を聞かされるに違いない。

「ねぇっ、じゃあさ、…ウチに来てくれない?」

あまりに酷い事なら、最悪 眠りの世界へ逃げられる。

「僕は良いけど…大丈夫なの?」

「全然オッケーよ」

じゃあ遠慮なくっ、と奏が言い、今日の仕事が終わって
からの予定は決まった。

「あ、今日はどうしたの?」

「特に無いんだけどね。愛ちゃんなのかな、って思ってて」

「そう言えばさ、前……名札見てた人?」

遂に聞いてみれば、奏はごめん、と笑った。

「あっ、仕事 頑張ってね」

うん、と答えようとしたら、レジで人が待っているのを
見つけてしまった。

じゃあね、と奏に別れを告げ、仕事に戻った。

帰ってから聞く話が、悪い事ではないようにと願いながら。

<2016/10/30 15:26 秋の空>消しゴム
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