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想い舞う頃
- 逢いたかった人 -

医学雑誌と仕事の世界に入り込んで、どれくらいの月日を
過ごしただろう。

だいぶ頭も良くなっているはず。

自惚れかけて気が付けば、季節は夏。

真夏。

昼間にはかき氷、夜には花火の恋しくなる季節。

仕事も休みの日曜日、ガッツリ冷房の効いた涼しい部屋で
暇を持て余していた。

瞬からは当たり前のように連絡ないし、奏からも特にない。

もう、私から連絡してやろうかと思うくらい。

最近はあまり医学の世界には行っておらず、本当に暇。

奏で良いから話し相手になってもらおうと、奏に電話を
掛けようとした、その時。

手元の携帯が振動しながら着信音を鳴らした。

しかも、奏から掛かってきてる。

驚きを隠せぬまま電話に出る。

「…も、もしもし?」

『あ~愛ちゃん?今日って暇だったりする〜?』

向こうも同じような状態だったと思える、奏の声。

「暇暇〜」

暇すぎて、ちょうど君に電話しようと思ってたんだよ、
奏くん。

『良かったー。ちょっと瞬くん家行かない?久々に』

「……瞬?」

電話もメールも、しようと思ったけど何となく避けてきた瞬。

『僕は行こうと思ってるんだけど。愛ちゃんはどうする?』

「えっ……瞬には…聞いたの?」

『聞いたよ。まあ……別にダメじゃねぇけど…、だってさ』

あぁ、すごい言いそう。

しかも、奏の言い方が半端なく似てた。

『で〜?愛ちゃんは〜?』

僕そろそろ向かうんだけど、と急かすように続ける奏。

「わわ、分かった!行く!私も、瞬の家、行く……うん」

何となく焦って答えたため、変な返答になってしまった。

さらに、電話の相手に大丈夫っすか?と笑われるという。

「ねえ!でもさ、1回私ん家来てくれない?」

『別々で行けば良いじゃーん』

奏のいじわる。

「嫌だっ!…あっ、嫌、じゃないけど…」

『ハハハッ、分かった分かった。今から行って良い?』

「う、うん。何かごめん…」

『しょうがないなぁ。1回じゃあね』

「ああうん。1回、ね…」

電話を切り、深いため息。

何であんなに慌てたんだろう。

やっぱり、瞬に会う覚悟が出来ていないのだろうか……

症状が進んでしまっているであろう、瞬に会う、覚悟が……

<2016/10/30 22:07 秋の空>消しゴム
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